山本美月、頭の中がアニメ「2次元で役づくり」も
映画『ザ・ファブル』で岡田准一演じる筋金入りの殺し屋が出会う堅気の女性ミサキ役をリアルに演じた山本美月。夢もアニメで見るほど2次元の世界を愛する山本が、オファーを受けたキャラクターを「一度、頭の中でアニメ化してから3次元に落とし込む」という独特のアプローチ法を語った。
本作は、南勝久による週刊ヤングマガジン連載の同名人気コミックを実写映画化したアクションエンターテインメント。伝説の殺し屋(岡田)が アキラという偽名で“普通の暮らし”を始めるために、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹を装い大阪へ引っ越すが、裏社会の人間たちが引き起こすトラブルに次々と巻き込まれる。そんな中、アキラは、裏社会の人間に翻弄されながらも自らの手で人生を切り拓き、懸命に生きようとする女性ミサキ(山本)と出会い、心の奥で何かが変わりはじめる。
撮影の合間の雑談で共演者の佐藤二朗から、「美月ちゃんは2次元の人しか愛せないんじゃない?」とイジられるほど、山本は自他共に認めるアニメオタク。「悔しいけれど、確かにそれは否めませんね。リアルより2次元の方が好きなので」とあっさり認めながら、「わたし、頭の中がアニメなんです」と言葉を続ける。「夢を見ていても、アニメのキャラクターが自分の世界に入り込んできたり、もうゴチャゴチャになっている。普通に行動しているつもりでも、思考回路がどこかアニメっぽいんですよね」と苦笑い。
役に関しても、「脚本をいただくと、頭の中で一度アニメ化することが多いですね。普段からアニメばかり観ている影響もあると思うんですが、アニメで想像すると、すごく役がわかりやすいんです」と独自のアプローチ法を告白。ただし注意すべき点は、2次元の芝居をいかに3次元に落とし込むか。「そこは考えながらやっていますね。つまり、やりすぎ注意というか、アニメは過剰な演技もありですが、リアルな人間ドラマだと大げさになるので、なるべく表現を抑えるとか。場合によっては紙にイラストを描くこともありますが、あくまでもそれは役のために描くのではなく、描きたくなったから描いているだけ。たまたま役づくりのサポートになればいいくらいの感覚ですね」
今回は原作コミックがあり、アニメ化するプロセスを踏むことなく、すぐにミサキというキャラクターをつかむことができたという山本。極悪人だらけの中で親の借金を肩代わりしながらも、真面目に働き、健気に生きるミサキを見事に演じきった。「親に楽をさせてあげたい、自分の夢を実現させたい一心でがんばっている中で、たまたま悪い人たちに出会ってしまった普通の女の子。笑顔を作って気丈にがんばる姿が、結果的に幸薄そうに見えてしまったようだけど、イメージ通りに演じることができたかな。関西弁にはかなり苦戦しましたが(笑)」と述懐する。
完成した作品にもかなり手応えを感じているようで、「コミックっぽさがなくて、キレイな形で仕上がっていました。『こういう世界もあるんだ』って思わせてくれるくらいリアルに落とし込んだ作品」と絶賛。岡田の座長ぶりにも、「いろいろ気にかけていただき、お話もしていただいたのですが、岡田さんは黙っていても優しさがあふれている方だなと。『何があっても受け止める』という安心感が、言葉ではなく、雰囲気から伝わってきました」と振り返り、その頼もしさを改めてかみしめていた。(取材・文:坂田正樹)
映画『ザ・ファブル』は全国公開中