金子修介監督が「平成ガメラ」3部作に込めた思い
現在開催中の第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭で「地球征服怪獣展」と銘打った日本の怪獣映画特集が行われ、長編コンペティション部門であるプチョンチョイス審査員として参加している金子修介監督が3日、の最終章『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)上映終了後のトークショーに登壇。怪獣に対する自身の思いのたけを韓国の怪獣映画ファンにぶつけた。
金子監督自身、怪獣映画で育った世代と公言し、幼少期には自作の怪獣辞典を作ったほど。「子供のころの僕にとって怪獣映画は祭りで、親に連れられて夏休みや春休みによく映画館に行った。それが、テレビシリーズ『ウルトラQ』(1966)が始まり、他にも『マグマ大使』やら、毎回違った怪獣が登場するようになって覚えきれず、仕方なく自作の怪獣辞典を作って情報を整理した」。「高度経済成長期で変わりゆく日本を怪獣が破壊することに、幻想を信じられるリアリティーがあった。だから当時の子供たちは怪獣に夢中になった」と思いを巡らせた。
少年期には夢中になって観ていた怪獣であったが、大人になってからは見方が変わってきたとも。「1954年の『ゴジラ』には水爆や戦争に対する批判的なメッセージが込められており、戦争映画に変わるエンターテイメントとして怪獣、映画が発達したと思う。ところが、その後の怪獣映画は子供向け映画へと変わり『昭和ガメラ』シリーズもそうだった。そこでもっと人間の視点から怪獣映画を撮りたかった」と『平成ガメラ』のコンセプトを、昭和から大きく舵を切ることとなった。
ところで、会場には多くの怪獣ファンが集まったが、韓国では彼らは少数派だ。トークショーに出席したパネリストが「『グエムル‐漢江の怪物‐』(2006)のようなクリーチャー作品が多い。しかしながら『パシフィック・リム』(2013)や『GODZILLA ゴジラ』(2014)などが韓国でも紹介されるようになり、徐々に怪獣ファンは増えつつある」と語ると、金子監督は「韓国で怪獣映画を撮るなら協力は惜しまない。ぜひともはせ参じたい」と嬉しそうな表情を浮かべた。(取材・文:土田真樹)
第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭は、7月7日まで開催