『キャプテン・マーベル』猫のグースは80%がCG VFX監修が明かす裏側
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)をはじめ、数々のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品で視覚効果監修を務めるクリストファー・タウンゼントが、『キャプテン・マーベル』のVFXについて語った。
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1990年代を舞台に、シリーズ最新作『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも活躍した女性ヒーロー、キャプテン・マーベルの誕生を描く本作。宇宙を舞台にした迫力のアクションはもちろん、猫のグースや、S.H.I.E.L.D.エージェント時代の若きニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)など、キャラクターの描写にも最新の映像技術が注がれた。
劇中、メインキャラクターとして大活躍する猫のグース。撮影では、リッゾ、アーチー、ゴンゾー、レジーという4匹の猫がグースを演じたが、タウンゼントいわく「登場するカットの70~80%は実はCG」だという。というのも「猫たちは犬とは全く違って、ほとんど手懐けることができない」から。「全体的に、CGの猫が必要になるのは最初からわかっていました」。
「最高の動物タレントとアニマルトレーナーがいて、彼らは驚異的な働きをしてくれました。ですが、猫が最初のテイクと全く同じ演技をしてくれないことが、しばしばありました。当然、あるシーンから次のシーンへとカットを繋ぐ時には動きが繋がっていなければなりませんが、時々、猫は音や衣装、扇風機の揺れや発砲音等に反応してしまうため、そんな時の演技は使えなかったりしたのです」
そのためVFXチームは、まず実際の猫たちをスキャンし、体表を濡らすことで毛皮におおわれた体の構造も把握。そのデータを基に、毛の一本にいたるまで猫を再現した。あとはショットに組み込むだけだが、「これも予想より困難でしたけどね」というタウンゼント。というのも、実物のタレント猫たちには「座り」「立ち」「歩き」などそれぞれの専門の動きがあり、4匹の猫とCGの猫が目まぐるしく入れ替わるショットを、違和感なくつなげなくてはならなかったからだ。そうして完成した映像について、タウンゼントは「今でも、どれが本物でどれが精巧に作られたCGか私が見てもわからない時があります」と自負する。
また、グースと共に話題となったのが、ニック役のサミュエルと、フィル・コールソン役のクラーク・グレッグの自然な若返りだ。2人のシーンには、3社ものVFX会社が携わっており、「(サミュエルだけで)約500のショットでVFXを用いました。彼を若返らせるため、かなり骨を折りましたよ。比較的簡単なショットもありましたが、あの若返りはもちろん、とてつもない挑戦でした」という。
さらに、技術以上に重要視したのは「撮影当日に役者が見せたのと全く同じ演技と緊張感が若返った見た目でも伝わるようにする」こと。「その空間の緊張感や、その演技の意味、役者の動きの意味も重要です。確実に作り上げるためには観客の視点で全ての役者のオリジナルの映像を見て、自分の仕事を終えたら再び検証。カットを確認して、常に映像を見て確実に何も違和感がないようにしたのです」というタウンゼントは、若返りの出来栄えについても「詳細までよく注意してご覧になっても大丈夫だと思いますよ」と自信たっぷりに語った。(編集部・入倉功一)
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