山崎賢人、20代半ばに感じる葛藤や変化
俳優の山崎賢人が初めて声の芝居に挑んだアニメーション映画『二ノ国』が公開を迎える。今年9月には25歳になり20代も折り返しに差し掛かる。数々の映画やドラマに出演し、主演を務めることも多かった山崎は、これまでの俳優人生をどう捉えているのだろうか。
葛藤する主人公に俳優人生を重ねた
『二ノ国』で山崎が演じたのはユウという主人公。現実世界の一ノ国と魔法世界である二ノ国を行き来しながら、自らの運命を選択していく高校生だ。そんなユウに命を吹き込んだ山崎は「彼が葛藤しながら進んでいく姿」に自身の俳優人生を重ねたという。
2010年にテレビドラマ「熱海の捜査官」で俳優デビューして以来、ほぼ途切れることなく映画・ドラマに出演しキャリアを積んできた印象があるが「たくさん作品をやらせてもらったことで、器用にやれちゃいそうになる瞬間ってあるんです。そんなとき、なんとも嫌な気分になります。フレッシュさを保ちたくなるんです」と自身が抱く“葛藤”の正体を明かす。
その意味で“新しいこと”は山崎にとって、俳優を続けていくうえで欠かせない要素だという。本作の声優という仕事も、「大きな不安はあった」というが、経験値をリセットする意味では大きな意義があった。
さらに最近は「デビュー当時はとにかく目の前にある仕事にがむしゃらに取り組んできましたが、20代半ばに差し掛かったことで、一つ一つの仕事が自分にとってどんな意味があるのか、なにを伝えていけるのか」ということを意識しながら仕事をしているという。そこには「思い切り楽しみたい」という純粋な気持ちもあるというが「考えることも必要」と視野が広がっていった。
主演作の大ヒットにも「まだまだ」
2019年は、4月に公開された主演映画『キングダム』が興行収入50億円を突破する大ヒットを記録した。“若手俳優”のなかでも、一歩も二歩も抜けた印象を受けるが「俳優やスタッフさんのなかにも、自分より年下の人も増えてきましたし、演じる役も学生じゃないものも多くなってきたので、年齢的に上がってきたなという実感はありますが、まだまだです」と自己評価は厳しい。
「『キングダム』もすごくありがたい評価をいただいていますが、僕のなかでは『まだまだ、こんなもんじゃない』という思いもあります」と強い視線で語った山崎。
「もっとアクションもできるだろうし、進化できる部分はたくさんあります。止まっていてはダメだと思う」
安定に満足せず、危機感を持って常に新しいことにチャレンジしていく向上心。柔和で、とてもスマートな印象の強い山崎だが「がむしゃら」という言葉も似合う、非常に奥行きのある俳優だ。(取材・文:磯部正和、写真:尾藤能暢)
映画『二ノ国』は8月23日公開
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」