2019年上半期邦画1位はコナン『紺青の拳』- 上半期邦画ランキング
2019年上半期(2018年冬~2019年6月公開作品)の日本映画作品別興収上位10本が文化通信社より発表され、興行収入91億2,000万円(7月21日時点)を記録した人気シリーズ第23弾『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』が上半期ナンバーワンの座に輝いた。近年、右肩上がりの興収を続ける劇場版『名探偵コナン』シリーズは、これで2016年の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』以来、4年連続で上半期ナンバーワンを記録している。
4月12日に公開された同作の初週土日成績は動員114万5,000人、興行収入14億6,400万円。昨年の『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』に続き、2年連続で初登場・動員100万人を超えるなど、スタートダッシュに成功した。興行通信社調べの全国映画動員ランキングで2週連続でナンバーワンを記録した後、1度は『アベンジャーズ/エンドゲーム』に首位の座を明け渡したものの、翌週にはすぐにナンバーワンに返り咲き。3度のナンバーワンを獲得し、9週連続のベストテン入りを果たした。
同シリーズは2013年の『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』以降、6作連続でシリーズ最高興収記録を更新中だが、最新作『紺青の拳』の興収は現時点ではまだ前作『ゼロの執行人』を超えていない。しかし、シリーズ最高興収まであと一歩というところにつけており、8月23日より「4Dアトラクション出国上映」と題して全国75~80の劇場で4D上映が実施される予定で『ゼロの執行人』(最終興収91億8,000万円)超えはほぼ間違いない状況となっている。
今年も定番アニメーション作品の強さは健在で『ドラえもん』『ドラゴンボール』『クレヨンしんちゃん』など人気アニメがランクインしている。だが今年の上位10作品の内訳はアニメ作品が4本、実写作品が6本となり、全体では実写映画がやや優勢となった。
実写作品では、テレビ局が製作に関わった作品が好調。日本テレビが製作に関わる『キングダム』『ザ・ファブル』も大ヒットを記録している。特に『キングダム』は上半期の邦画の中で『コナン』に次ぐ2位にランクインし、日本テレビが手がけた実写作品としては最高興収となった。フジテレビが製作に関わった『マスカレード・ホテル』『翔んで埼玉』『コンフィデンスマンJP』も好調。TBSが製作に関わる『七つの会議』もランクインを果たすなど、それぞれの作品評価の高さが口コミにつながり、ヒットにつながった印象がある。
配給会社別に見ると、東宝が6本(共同配給を合わせると7本)、松竹が1本、東映2本、ソニーピクチャーズ(東宝との共同配給)1本という内訳となった。さらに興収30億円超えの作品が昨年の4本から6本に増加するなど、劇場は活況を呈している。
下半期は、現在公開中の『天気の子』が快進撃を続けているほか、『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』も好調。『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』も着々と興収を積み上げている。今年は映画業界全体が好調な1年だといえそうだ。(取材・文:壬生智裕)
【2019年上半期日本映画作品別興収ランキングトップ10】(最終興収の数字は一部推定)
1『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』91億2,000万円(7月21日時点)
2『キングダム』56億9,000万円(7月21日時点)
3『映画ドラえもん のび太の月面探査記』50億2,000万円
4『マスカレード・ホテル』46億4,000万円
5『ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー』40億円
6『翔んで埼玉』37億6,000万円
7『コンフィデンスマンJP』29億3,000万円(7月21日時点)
8『七つの会議』21億6,000万円
9『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』20億5,000万円(7月21日時点)
10『ザ・ファブル』18億円