タロン・エジャトンの素顔はエグジーよりエルトンに近い!『キングスマン』監督が明かす
映画『キングスマン』シリーズの監督で、現在公開中の『ロケットマン』ではプロデューサーを務めたマシュー・ヴォーンが電話インタビューに応じ、同作の主演タロン・エジャトン&監督デクスター・フレッチャーについて語った。
『ロケットマン』は、奇抜なステージと強烈な個性で知られる歌手エルトン・ジョンの半生を苦悩まで赤裸々に描いたミュージカルファンタジー。エルトン役を務めたのは、ヴォーンが『キングスマン』の主人公エグジー役に抜てきしたことで一躍ブレイクを果たしたタロンだ。タロンは持ち前の歌唱力を生かし、「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」「アイム・スティル・スタンディング」「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」をはじめとしたエルトンの名曲の数々を吹き替えナシで感動的に歌い上げている。
エルトン役にタロンを激推ししたのがプロデューサーのヴォーンなのだが、彼はタロンがこんなにも素晴らしく歌えるといつ知ったのだろうか? その質問にヴォーンは「『キングスマン』第1作(2014)の撮影2日目」と即答する。
「彼はテイクの合間に歌ってばかりいたから。だから彼が歌がすごく上手いのは知っていて、デクスター(『ロケットマン』の監督)も『これはすごい』と言ったのを覚えている。エルトンには『あなたを演じるべき俳優はタロンだと思います』と言った。そのことについて話し合っていて、タロンが来たからお願いして歌ってもらったら、『オーマイゴッド。彼だ』とすぐになった」
「タロンはそもそも、エグジー(『キングスマン』の主人公)やエディー・ジ・イーグル(英国史上初めてスキージャンプオリンピック代表選手になったマイケル・エドワーズの愛称。タロンは彼の半生を描いた『イーグル・ジャンプ』に主演した)よりずっとエルトン・ジョンに似ている。ちょうどエルトンと同じように、傷つきやすくて、才気が爆発していて、自信がない。僕にはただ、タロンがそうした要素をそのまま役に持ち込むことができるとわかっていた」
そして、ヴォーンが『ロケットマン』のメガホンを託したのが、タロンとは『イーグル・ジャンプ』でも組んでいるデクスター・フレッチャー監督だ。ヴォーンと、もともと俳優だったデクスターは長年の友人同士でもある。
「デクスターとは『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998、ガイ・リッチー監督、ヴォーン製作)を一緒にやって友達になった。『ロック~』といえば、この映画で初めて映画祭に行った。東京国際映画祭だよ。ガイが監督賞を獲ったんだけど授賞式に出られなかったから、僕が受け取ったんだ。東京では素晴らしい時間を過ごした。1998年だから随分昔のことになるね」
「デクスターはこの映画に出たわけだけど、もともとは出演する予定じゃなかった。彼は僕たちを手伝ってくれ、全てのオーディションでほかの俳優の相手役をしてくれていたんだ。でもソープ役が決まらなくて、ガイに『彼をキャスティングしたらどうだろう。とても良かったから』と言った。それで僕たちは友達になった。僕が監督した『レイヤー・ケーキ』『スターダスト』『キック・アス』にも出てもらったけど、自分が友達だと思う人たちと映画を作る方が、そうじゃない人たちとやるよりずっと楽しいんだ」
そしてデクスターは『ワイルド・ビル』(2011)で監督デビューを果たすことに。ヴォーンは「彼が監督を始めた時に言ったのは『ねえ、僕にはそのことを笑ったりできないよ。僕自身プロデューサーだったけど、監督に挑戦してみて上手く行ったわけだから。だから俳優にできない理由なんてない』ということ。彼は4歳とかから演技の仕事をしていたから映画作りについて本当によく理解していて、それが得意だったんだ。『ワイルド・ビル』はとても気に入ったし、彼は素晴らしい仕事をしたと思った。だから『イーグル・ジャンプ』と『ロケットマン』で彼を雇うことにとても興奮した」と振り返った。
ちなみに『ロケットマン』の撮影現場にはなるべく行かないようにしたというヴォーン。「“陰の監督”になりたくなかったんだ。僕は監督としてクルーのほとんどのことを知っていたから、そこに立っていて、みんなが僕を見てくるような状況は避けたかった。デクスターがセットを支配するのがベストだと思った」と明かしていた。(編集部・市川遥)
映画『ロケットマン』は公開中