『バイオハザード』で左腕切断の大ケガを負ったスタント女性、製作陣を訴える
シリーズ第6弾にして最終作『バイオハザード:ザ・ファイナル』撮影中に大事故に遭い、左腕を切断することになったスタントウーマンのオリヴィア・ジャクソンさんが、製作陣を訴えた。ロサンゼルス郡上位裁判所に訴状が出され、オリヴィアさんは ABC News に訴訟に踏み切った理由を明かした。
【画像】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でのオリヴィアさん
事故は2015年9月に発生。訴状によると、もともとこの日はファイトシーンの撮影が予定されていたものの、直前になって、悪天候の中、危険で技術的に複雑なバイクシーンの撮影に変更されたという。そのシーンはカメラに向かってバイクを走らせ、彼女が到達する前にカメラを頭上に持ち上げるという算段だったがこれが機能せず、オリヴィアさんはフルスピードでカメラに激突することになってしまった。左腕、頭、肩に直撃して顔の左半分は皮膚が剥離し、昏睡(こんすい)状態から目覚めたのは3週間後だった。
オリヴィアさんは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』をはじめとしたアクション大作で活躍してきたが、この事故によってキャリアを絶たれた。彼女は、これは製作チームが「安全よりも金銭的なものを重視した結果」起きた事故だとして、プロデューサーのポール・W・S・アンダーソン(主演ミラ・ジョヴォヴィッチの夫で本作の監督でもある)とジェレミー・ボルトらを相手取って訴訟を起こした。
医療費についても契約時の保険では3万3,000ドル(363万円・1ドル110円計算)しかカバーされないことが判明し、プロデューサー陣に見捨てられた気持ちになったというオリヴィアさん。「彼らは、保険はとても限定されたものだと認めましたが、わたしが健康に戻るように面倒を見ると約束しました。それなのに彼らは医療費の支払いを止め、わたしは本当に傷つき、恐ろしく感じました。もうどうにも身動きが取れないと思ったので」。必要な手術が受けられたのは、スタント俳優のコミュニティーや世界中の映画ファンからの金銭的な支援があったからだという。
自身のInstagramにも前向きに生きる姿と共に現在も続く過酷な治療の様子を投稿しているオリヴィアさんは、スタント俳優たちが自身の安全をもっと守れるようになってほしいと訴えている。(朝倉健人)