新型ターミネーターに日本の影響 新キャストが語る『ニュー・フェイト』
映画『ターミネーター』シリーズ最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』に出演した、新キャストのナタリア・レイエス(ダニー役)、マッケンジー・デイヴィス(グレース役)、ガブリエル・ルナ(REV-9)が、ハードな撮影を振り返りながら、本作への思いを語った。
SFアクションの金字塔『ターミネーター2』(1991)の正統続編となる本作では、T-800役のアーノルド・シュワルツェネッガーと、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが約28年ぶりに共演。人類の命運を握る女性ダニーを演じたナタリアは、リンダの存在に助けられたと振り返る。「とってもスイートで謙虚な人なのに、現場に入ると急にサラ・コナーになるの。話し方から歩き方まで、普段と全く違うから驚いた。タフでインスピレーションを与えてくれる存在だったし、撮影中、あまりのつらさに思わず涙が出てしまったときには、彼女がもっとがんばれって励ましてくれた。ずっと背中を押し続けてくれたわ」
一方のガブリエルは、ダニーたちを追い詰める新型ターミネーター・REV-9役でサラと激突。「キャストのみんながすごく仲良くなったんだけど、僕が最初に友達になったのがリンダ。一緒に朝ご飯を食べるくらいだったのに、撮影ではいきなりサラ・コナーのスイッチが入って僕を撃ってくるから、ちょっと、僕だよ! って感じだったね」と笑みを浮かべる。
REV-9は、液体状になる外骨格とスケルトン状態の内骨格に分離する強敵で、正確無比に敵を攻撃する姿は、日本の侍映画に影響を受けたとのこと。また、内骨格もモーションキャプチャーでガブリエルが演じており、そこで役に立ったのが、世界的に知られる演出家・鈴木忠志氏の演劇訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド」だったという。「彼の技法は、肉体を居心地の悪い状態に置き、そこからストーリーをつづるというもので、集中し、観客を認識しつつ、何もせずに、全てを見られながら演技をする。今回はセリフもほとんどなくて、自分の体のみで役を表現しないといけないから、その技法を参考にして、観客にREV-9の存在を伝えようとしたんだ」。
また、REV-9と戦う未来の戦士グレース役でハードなアクションに挑戦したのがマッケンジー。彼女自身はアクションが苦手で「現場で毎日のように、この役に合ってないと思うって言ってたの」と意外な言葉。「本当にハードできつい道のりだったわ。撮影の3か月前からトレーナーとトレーニングを始めて、それが半年間の撮影中も続いた。食事制限もね。でも、そうした不安があったからこそ、頑張れたんだとも思う。2人のスタントダブルや素晴らしい仲間のサポートのおかげね」とはにかむ。
シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンがプロデューサーを務め、『デッドプール』のティム・ミラー監督がメガホンを取った本作。完成した作品の出来には、そうした努力が報われた思いだったようだ。マッケンジーは「瞬発力を要求される撮影を約半年も続けたから、みんなで短距離走と長距離走を同時にやっていた感じ。そうして血と汗と涙を流して作った作品が良いものになって、皆さんに届けられることが本当にうれしいわ。努力の結晶よ」と誇らしげに語った。(編集部・入倉功一)
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』は全国公開中