『IT/イット』完結編、ペニーワイズとの最終決戦後のルーザーズ・クラブはどうなる?監督が込めた愛
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のアンディ・ムスキエティ監督が来日時にインタビューに応じ、スティーヴン・キングの原作小説とは異なるラストについて語った。そこにはルーザーズ・クラブの面々への深い愛が込められていた。(※以降ネタバレを含むので鑑賞後にお読みください)
落ちこぼれの子供たち7人組「ルーザーズ・クラブ」が、相手が心の底で恐れているものに姿を変える邪悪なIT=ペニーワイズを退治するさまを描いた前作。恐怖を与えて食らう存在にもかかわらず、初めて自分の方が恐怖を味わわされてしまったペニーワイズはそれから27年後、大人になったルーザーズ・クラブの面々を田舎町デリーに呼び戻し、復讐を果たそうとする。
今回はルーザーズ・クラブのメンバーたちも無事では済まず、エディとスタンリーは原作通り命を落とすことになるが、ムスキエティ監督はそこに愛ある変更を加えている。「ルーザーズ全員を、敬意を持って扱いたかった。エディに関しては、死の直前に友人たちにペニーワイズ打倒のための“鍵”を与えるようにした。薬局でITと対峙した時のことを思い出した彼が『もう少しで殺せるところだった。“それ”はとても弱々しかった』と言ったことで、ルーザーズたちはすでにわかっていたかもしれないけどまだ試していなかったこと=ITの力を弱めるためにやるべきことをするんだ。それはとても英雄的だし、エディの見せ場とするのは素晴らしいと思った」
「それにスタンの死には、もうちょっと意味を与えたかった。(原作のように)ITを恐れたから自殺したというだけじゃなくて、彼の決断にもう少しロジックを与えた。彼が自殺したのは、OCD(強迫性障害)の会計士だからではなく、それがペニーワイズを負かす唯一の方法だとわかっていたからなんだ。彼はもし自分が対決の場にいたら、ルーザーズの計画をめちゃくちゃにしてしまうということを理解していた。それがエモーショナルな結果を生んだ。本よりいい結末……いや『いい』ではなくて、ただ『よりハッピーな』結末かな。もしくは『よりビタースウィート』な」
再集結するまで子供時代の事件も互いのことも完全に忘れていたルーザーズだが、原作では27年後にIT=ペニーワイズの息の根をついに止めた後、また互いのことを忘れてしまう。「原作ではマイクがビルに『早くも友達の名前を忘れ始めている』と言うし、ビルはエディの名前を忘れてしまう。なんで? どうして? と思って本当に残念だった。だからそれを変えたんだ。これもロジックだけど、ITを殺したら、魔法も解ける。だから今回はデリーを出ても、誰も忘れずに済むんだ。ルーザーズは永遠に友達だ」(編集部・市川遥)
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は公開中