『男はつらいよ』新作に大歓声!山田監督、渥美さんに褒められるといいな
27日に公開を控える新作映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』プレミア試写会が19日、丸の内ピカデリーにて行われ、山田洋次監督、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、池脇千鶴、桜田ひより、夏木マリが出席。初の上映後の登壇イベントだったこの日、山田監督らが現れると「お帰り!」「寅さん!」「監督!」という声が会場に響き渡り、スタンディングオベーションで迎えられる感動的なシーンが見られた。
本作は、国民的人気を誇った『男はつらいよ』の50作目となる22年ぶりの最新作。渥美清さん演じる車寅次郎の甥っ子である満男(吉岡)と、彼の幼なじみである泉(後藤)が久々に再会したことから起こる物語が懐かしい映像とともに描かれる。
満員の客席を見渡した山田監督は「50年かけて作った映画。なにかいいところがあるとしたら、長い歳月をかけたことです」としみじみ語ると「みなさん、今日は観てくれて本当にありがとうございます」と感謝を述べる。
渥美さんが亡くなったことで『男はつらいよ』シリーズは20年以上新作が作られることがなかった。そんななか、山田監督と親しい画家である横尾忠則氏から3~4年前に「これまで作った作品から好きなショットを拾い出して並べたら、別の映画にならないかな」と言われて「なるほど。それなら50本目が作れるかも」と思ったという。
山田監督は「くるまやには(倍賞演じる)さくらさんも(前田ふんする)博さんも元気でいる。さらに満男くんも、遠いヨーロッパだけれど泉ちゃんも元気。この4人を軸に物語が作れないか」と考え、構想を練った。できあがった作品について山田監督は「僕たちスタッフの『渥美さんにもう一度会いたい』という気持ちがそのまま反映されている映画。大天才である渥美さんに捧げるという形にしました」と述べた。
いったん『男はつらいよ』シリーズが終了したあと、山田監督はほかの作品も手がけているが「いつもできあがった作品は、どこかで渥美さんが観てくれているはずだと思って映画作りをしていました。そして鑑賞眼の非常に高い渥美さんが『今度の映画よかったよ』と褒めてくれることを目標にしていました」と心情を吐露する。そんな思いのなか完成した作品に「渥美さんが『俺も出ているけれど、なかなかよくできていたよ』と笑いながら言ってくれたら嬉しいです。そうであってほしいと願っております」としみじみと語ると、客席からは温かい拍手が鳴りやまなかった。(磯部正和)