山崎賢人「求められる自分」と新しい挑戦とは?
近年、出演作品の幅が広がっている印象を受ける俳優の山崎賢人。最新作『ヲタクに恋は難しい』では、クールなイケメンでありつつ、その中身は重度のゲームヲタクである二藤宏嵩にふんしている。途切れることなく作品が続くなか、「求められていること」と「新しい挑戦」という、相反するような方向性に挑む心境を語った。
山崎と言えば、さわやかな好青年というパブリックイメージがある一方、昨年放送されたドラマ「グッド・ドクター」では、自閉症スペクトラム障害とサヴァン症候群を抱えている小児外科医師を繊細な演技で好演し、『キングダム』では、大将軍を目指す戦災孤児・信を、圧倒的な熱量で爆発力たっぷりに演じるなど、幅広い役柄に挑んでいる。
本作でも、劇中に登場するミュージカルシーンでは、歌やダンスを披露し、また新たな山崎を見せつける。山崎自身も「最近はいろいろな役に挑戦させてもらえる機会が増えています」と自覚があるというと「年齢が25歳になったということもありますが、今作では社会人の役をやっていますし、自分ではやったことがないような役をいただけている。それはすごくワクワクすることだし、これからも臆することなく飛び込んでいきたい」と意欲を見せる。
一方で「求められている山崎賢人というものがあることもわかっています」とファンが山崎に期待していることもしっかりと把握している。「応援してくれる人がいるというのはすごく嬉しいことですし、その期待に少しでも応えたいという気持ちもあります」と胸の内を明かす。ファンの期待と自身のやりたいことのバランスについては「理想を言えば、自分が思い切り楽しんでやったことを、ファンの方にも喜んでもらえるというのが一番いいですよね」と述べるが、そのためには常に新しい自分をしっかりとアピールしていかなければいけないという。
10代でデビューした山崎も、今年9月で26歳になる。20代後半の目標について聞くと「とにかく面白いことをやりたい……って当たり前のことですね」と照れ笑いを浮かべつつも「いままでは学生の役が多かったのですが、年を重ねていくにつれて、役柄の幅も増していくと思うんです。どんな役と出会えるのか……それはすごく楽しみです」と前向きにとらえる。元来「あまり後ろは振り返らないんです」と自身の特徴を述べると「常に前というか上を向いている感じ。宇宙ですね」とおどける。
前傾姿勢の山崎だが、芝居に関しては、年々難しく感じるようになってきているという。「最初のうちは見えないことも多かったので、その意味では経験を積んできた時間はしっかりと自分のなかにあるとは思うのですが、わかったような気でいて、実は全然わかっていないなと感じることもあります。結局は毎回振り出しに戻っているのかも」
しかし、だからこそ興味は尽きないようで「やりたいことはいろいろあります」とニヤリ。内容については具体的には明かさなかったが、まずは『ヲタクに恋は難しい』で、歌にダンスに新境地を見せる山崎の芝居を堪能したい。(山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記)(取材・文:磯部正和)
映画『ヲタクに恋は難しい』は公開中