宮沢氷魚、初キスシーンは藤原季節と LGBTQ題材の作品出演に誇り
俳優の宮沢氷魚が8日、スペースFS汐留で行われた映画『his』の完成披露試写イベントに出席。男性同士の恋愛を扱う本作の出演に「光栄でした」と喜びの言葉を述べ、役者としての初のキスシーンの相手が本作で同性カップルを演じた藤原季節だったことを明かした。この日は、宮沢と藤原のほか、子役の外村紗玖良、今泉力哉監督も姿を見せた。
宮沢氷魚、初キスシーン相手・藤原季節に「僕は何人目?」【動画】
『愛がなんだ』などの今泉監督がメガホンを取った本作は、二人の青年の恋愛を題材に、彼らの抱える葛藤をはじめ、親権獲得や周囲の人々への理解を求めて奮闘する姿を描く物語。昨年放送のドラマ「偽装不倫」で一躍注目を浴びた宮沢が登壇するイベントとあり、開場の5時間も前から並ぶ人の姿が見られるほどの盛況ぶりで、場内は超満員。注目の高さが伺えた。
主人公の迅を演じた宮沢は「もともとLGBTQを題材にした作品に出たかった」と語る。「僕は男子校だったので、周りにいたんです。友だちが思春期を迎えて、同性愛者だったりバイセクシャルだったりすることに気が付いて、僕にはそれが当たり前というか、幼なじみがそうなんだと。いざ社会に出たら、そんな甘い世界ではなくて、差別や偏見の目にさらされる毎日なので、何らかの形でそういう方たちの救いになりたいという気持ちがありました。今回の役は光栄でした」と思いを語った。
さらに宮沢は「役者としての初のキスシーンが(恋人である渚役の)藤原季節となんです」と告白し、会場を沸かせた。「放送では(杏と共演したドラマの)『偽装不倫』が先だったのですが、撮影は『his』が先だったんです」と明かすと、藤原は「まったく知らなかったです」と驚いた表情を見せる。それに今泉監督が「季節さんは初めてじゃなかったの?」と聞くと、藤原は「何人か」と返答。宮沢が「けっこうショックですね」と続けて、笑いを誘った。
今泉監督は、同性愛という題材に正面から取り組むのは今回が初だと語りつつ「避けていたわけではなく、当たり前に存在している人として同性愛の方を登場させようと思っていたので、この題材で作らないと公言してきた。その自分がこういう作品を作るときに、何か新しい部分で向き合えたらなと思った」という。続けて「同性愛の話だけど、人と人との恋愛ものとして撮った部分もありますし、家族や奥さんの側から描くこともできる作品だと思い、引き受けました。わかりやすい悪人や嫌な人を登場させて物語を作るのは簡単ですが、(本作には)悪い人がいないし、みんなどこか弱さを抱えた人たちだと思う。自分がやる意味がありました」と口にした。
また、晴れ着姿で登場した子役の外村は、翌日が誕生日とのことで、会場全員でバースデーソングの大合唱。終始、ニコニコ笑顔で可愛らしい魅力を振りまく外村の姿に、登壇者もメロメロの様子だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『his』は1月24日より新宿武蔵野館ほか全国公開