高橋幸宏『男と女』18回鑑賞 野宮真貴と偏愛トーク
クロード・ルルーシュ監督による恋愛映画の金字塔『男と女』(1966)の53年後を描く『男と女 人生最良の日々』の公開を記念する特別試写イベントが、17日に都内で開催。1967年に第1作が日本で公開された際、劇場で18回鑑賞したというほど熱烈なファンであるミュージシャンの高橋幸宏と、あのダバダバダ、ダバダバダ……で知られるフランシス・レイのテーマ曲を2016年にカバーした歌手・野宮真貴が出席。時代を超えて愛される本作の魅力について、熱く語り合った。
妻に自殺されたレーサーのジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)、スタントマンの夫を目の前で失ったアンヌ(アヌーク・エーメ)。2人が、過去にとらわれながらも惹(ひ)かれ合う姿を描き、カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)やアカデミー賞外国語映画賞を獲得するなど、ルルーシュ監督の名を世界に知らしめた『男と女』。その53年後を描く本作は、ルルーシュ監督、主演のトランティニャン、エーメが再集結した。
第1作が公開されたとき、18回も観賞したことについて、高橋は「当時、生意気な中学3年生でしたね。その後も高校、大学と、どこかの劇場でやっていると、必ず観に行ってました」と振り返り、その53年後を描いた本作について「人間が歳を取るということは残酷だと解釈して、賛否両論になるのかなと思ったりしました。けど、そうじゃないんだということが、最初の10分間のトランティニャンの表情を観てわかりました」とホッとした表情。
現在、87歳のエーメについても「エーメの髪をかきあげるシーンも(第1作と)同じだったし、過去とクロスして見えてくるから、僕には何の問題もないんです。若い頃の自分と、それから歳を取っていく感じが、自分の人生の中でオーバーラップして、歳を取るのも悪いことじゃないって感じさせてくれる」としみじみ。ルルーシュ監督にも2度会ったことがあるそうで「本作の企画をルルーシュが出したときは、反対されたらしいけど、映像と音楽の組み合わせというか、こういう映像はルルーシュしか撮れないし、(2018年に亡くなった)フランシス・レイが2曲書いているのも感動しました」と話題が尽きない。
これを受けて、野宮もエーメが演じたアンヌから受けた影響を語る。「エーメのアンヌは、わたしにとって常に憧れの大人の女性像です。ムートンのコートや黒の下着、タートルの着こなし、センター・パーツのボブヘアをかきあげる仕草。クラシカルなアイラインとか、さりげないメイクなんですが、女性の誇りを感じる赤の口紅とか、当時の彼女の年齢を超えた今も影響を受けています」。なお、イベントでは、かつてピチカート・ファイヴとして共に活動していた小西康陽が日本語詞をつけ、『男と女』50周年記念のオフィシャル・サポーターとしてカバーしたテーマソングを生歌で披露した。(取材・文/岸田智)
映画『男と女 人生最良の日々』は1月31日よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開