キネ旬ベスト・テン、池松壮亮&瀧内公美がR指定作品で受賞
映画雑誌「キネマ旬報」(毎月5日・20日発売)を発行する株式会社キネマ旬報社が4日、「第93回キネマ旬報ベスト・テン」を発表し、池松壮亮が主演男優賞、瀧内公美が主演女優賞に輝いた。同映画賞において、池松は2014年・第88回で助演男優賞受賞をして以来約5年ぶり、瀧内は初の受賞となる。
日本映画ベスト・テン第1位は、『この国の空』などの荒井晴彦監督が直木賞作家の白石一文の小説を原作にしたR18+指定作品『火口のふたり』。外国映画ベスト・テン第1位はホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』。同作は、読者選出外国映画ベスト・テン第1位にも選出されている。文化映画ベスト・テン第1位は『FAKE』などの森達也監督が東京新聞社会部記者の望月衣塑子氏を追ったドキュメンタリー『i-新聞記者ドキュメント-』という結果になった。
『火口のふたり』で主演女優賞を受賞した瀧内公美は「賞をいただけたことは、荒井監督をはじめ作品を支えてくださったスタッフの皆さん、そして共演者である柄本佑さんのおかげだと心から思います。いろんな世代の方に、この映画が伝わったことが何よりです』と、スタッフや体当たりで共演した柄本佑に感謝を述べつつ、受賞の喜びをコメント。
新井英樹の同名漫画に基づく2018年放送の連続ドラマ版に続いて、R15+指定の映画版『宮本から君へ』で主人公を続投し、主演男優賞を得た池松壮亮は『公開まで紆余曲折を経た『宮本から君へ』を信じて、宮本浩という役を演じきったからこそ、うれしい評価をいただけました。僕も映画屋の端くれですから、キネ旬の賞はやっぱり格別です(笑)』と述べている。本作では『斬、』などで共演し、固い信頼関係を築いた蒼井優を相手にした熱演も話題を呼んだ。
キネマ旬報ベスト・テンの始まりは、1924年度(大正13年)から。その年を代表する日本映画、外国映画、文化映画をそれぞれ10本選出し、日本映画と外国映画には読者選出部門も設けられている。また13の個人賞から、その年の称賛すべき作品・映画人を多面的に選出。2019年は延べ120名以上の映画評論家、ジャーナリストなどによって選考が行われた。
2019年第93回キネマ旬報ベスト・テン受賞結果は下記の通り。なお、第2位以降のランキングは2月5日発売号で掲載される。(編集部・石井百合子)
日本映画ベスト・テン第1位:『火口のふたり』(監督:荒井晴彦 配給:ファントム・フィルム)
外国映画ベスト・テン第1位:『ジョーカー』(監督:トッド・フィリップス 配給:ワーナー・ブラザース映画)
文化映画ベスト・テン第1位:『i-新聞記者ドキュメント-』(監督:森達也 配給:スターサンズ)
読者選出日本映画ベスト・テン第1位:『半世界』(監督:阪本順治 配給:キノフィルムズ)
読者選出外国映画ベスト・テン第1位:『ジョーカー』(監督:トッド・フィリップス 配給:ワーナー・ブラザース映画)
【個人賞】
日本映画監督賞:白石和彌『ひとよ』『凪待ち』『麻雀放浪記2020』
日本映画脚本賞:阪本順治『半世界』
外国映画監督賞:トッド・フィリップス『ジョーカー』
主演女優賞:瀧内公美『火口のふたり』
主演男優賞:池松壮亮『宮本から君へ』
助演女優賞:池脇千鶴『半世界』
助演男優賞:成田凌『愛がなんだ』『さよならくちびる』ほかにより
新人女優賞:関水渚『町田くんの世界』
新人男優賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』『決算!忠臣蔵』
読者選出日本映画監督賞:阪本順治『半世界』
読者選出外国映画監督賞:トッド・フィリップス『ジョーカー』
読者賞:ライムスター宇多丸、三沢和子連載「2018年の森田芳光」
特別賞:和田誠(映画の素晴らしさや愉しさを広く伝え、多くの映画ファンを育てた功績に感謝をこめて)