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阿部寛、稀代の版元・蔦屋重三郎に圧倒される「鋭く、したたかに」

映画『HOKUSAI』より。版元・蔦屋重三郎(阿部寛)と青年期の葛飾北斎(柳楽優弥)は本作が初共演
映画『HOKUSAI』より。版元・蔦屋重三郎(阿部寛)と青年期の葛飾北斎(柳楽優弥)は本作が初共演 - (C) 2020 HOKUSAI MOVIE

 映画『HOKUSAI』(5月29日公開)で葛飾北斎、喜多川歌麿、東洲斎写楽らの才能を発掘してきた稀代の版元(プロデューサー)・蔦屋重三郎を演じる阿部寛。昨年6月17日、京都・松竹スタジオで行われた撮影中に取材に応じ、自身を圧倒した重三郎の手腕や、共に是枝裕和監督の作品を経験している柳楽優弥との初共演を振り返った。

【動画】北斎の涙…『HOKUSAI』特報

 「冨嶽三十六景」などで知られる江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の謎多き生涯を、柳楽優弥と田中泯のダブル主演で映画化する本作。北斎と彼に影響を与えた人物たちとのエピソードを軸に、北斎が描いた「三つの波」の秘密に迫る。北斎の青年期を柳楽が、老年期を田中が演じるほか、美人画の大家・歌麿役に玉木宏、戯作者の柳亭種彦に永山瑛太と華やかな顔ぶれが集結。『相棒』『探偵はBARにいる』シリーズなどの橋本一がメガホンをとった。

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 阿部演じる重三郎は、くすぶっていた若き北斎に目を付け、歌麿や写楽の才能を見せつけて焚きつけていく。有能なプロデューサーであり商売人でもある重三郎という人物を、阿部はこう分析する。「いろんなところで才能を見つけては商売にしていく。絶対に自分にとって損になることはしない計算高さもあって、いろんなところに顔を広めながら、したたかに生きていく。そういう人間なので、いろんな顔の面があっていいんじゃないか。ある意味、狸であってもいいと思うし。一方で、芸術面、前衛的なものに対してはすごく鋭かったので、そういう部分ものぞかせる。そういうキャラクターにしなければならないなと」

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北斎と重三郎の独特な関係から目が離せない

 舞台は、幕府に風俗が厳しく取り締まられていた江戸時代後期。その波は、重三郎が営む店「耕書堂」にも及んだ。しかし劇中では怯むことなく、権力に屈さない姿勢が印象的だ。阿部はそんな重三郎の生きざまに「幕府から禁止されていることの理由を宣伝に使うぐらいの男なので、やっぱりすごいですよね。自分は彼より年齢が上ですけど、すごい生き方だと思います」と圧倒された様子だ。

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 ベテランの阿部はこれまで『柘榴坂の仇討』(2014)、『のみとり侍』(2018)など時代劇での経験も十分だが、「侍役はよくやるんですけど町人はあまりなかったので非常に新鮮に感じた」とのこと。「いかつく歩くことはできるんだけど、はんなりといった感じは慣れていないので、どう演じようかと。舞台でそういう経験のある先輩と一緒に台本を読んでいただいたりして町人のしゃべり方を学び、日本舞踊をやったりもしました。『粋さ』は、ちょっとした歩き方やしぐさでしか表せないと思うんですよね」

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歌麿(玉木宏)は、遊郭に缶詰めにして絵を描かせる

 そんな重三郎と密にかかわる北斎役の柳楽とは、本作が初共演。阿部は『歩いても 歩いても』(2007)、『海よりもまだ深く』(2016)で、柳楽は『誰も知らない』(2004)で、共に是枝裕和監督に出演しており、シンパシーを感じるという。「(是枝作品では)柳楽君の方が早いですし、シンパシーはありますよね。あんなに幼いころにカンヌで賞をとってしまって苦労しただろうなと思うし、今こうして共演できるというのはいろんなことがあって、ここまできたんだろうなというのは言わなくてもわかります」と柳楽のキャリアに思いを巡らせる。

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 また、阿部は柳楽の「目がいい」と着目。その独特な魅力を「面白い俳優だなと。つかみどころがないというか。コミカルなものから、いろんな芝居をやるので、どこまで伸びるんだろうかという感じがしますね。共演する前から思っていたことですが、雰囲気の出し方なども、あまり見たことがないやり方をしますよね。監督のディレクションにも柔軟に対応できる能力もあるし、何でも吸収していく精神が彼の魅力じゃないかと思います。若手の中にはある程度かたちが完成してしまう人もいると思うんですけど、彼の場合はスポンジのようで本当にお芝居が好きなんじゃないかという気がします」と話した。(編集部・石井百合子)

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