鎌滝えり、いじめや虐待題材の主演作「責任感持って演じた」
女優の鎌滝えりが29日、ユーロスペースで行われた映画『子どもたちをよろしく』初日舞台あいさつに出席。劇場公開映画初出演となった作品への思いを語った。舞台あいさつには、杉田雷麟、椿三期、ぎぃ子、速水今日子、木村和幹、林家たこ蔵、難波真奈美、寺脇研、前川喜平、隅田靖監督も登壇した。
いじめと自殺、その裏にある家庭の問題をリアルに描き出した本作。いじめに苦しむ少年、性的虐待を受け自らを「汚れた存在」と思い込んで風俗産業に身を沈める少女など、居場所をなくした子どもたちの姿が映し出される。
園子温監督が手掛けたNetflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』に出演している鎌滝は、劇場公開映画に出演するのは本作が初。複雑な家庭環境で育った優樹菜という難役に挑んだ。
鎌滝は「子どもたちの目線で描かれる映画のなか、わたしが演じた女性は子どもと大人の中間の役」と立ち位置の難しさに言及すると、ちょうど撮影が行われているときに、千葉県野田市で起きた虐待死事件が報道されていたことに触れ「今回の映画と似たような出来事が、日常的に起きている現状を痛感し、とても責任感を持って役をまっとうしなければいけないなという思いで演じていました」と語った。
一方、いじめをする少年を演じた杉田は「これまではいじめられる側の役が多かったので」と難しさがあったことを明かす。しかし、そんないじめる側の家庭にもさまざまな問題があり、一方的に非難できない現状があることを述べると「優しい一面も持つ役柄ですが、いじめるときとまったく違う人間になってはいけないという部分は意識しました」と役作りについて語った。
寺脇はラストについて「この作品はフィクションであり、映画を観た人が、現実では『絶対に子どもたちを助けなければ』と思ってもらえたらと考えていました。そういう社会になってほしい」と作品に込めた思いを語ると、隅田監督は「力のある映画だと信じています。多くの方に観ていただき、もっと大きく作品を育ててほしい」と客席に呼びかけていた。(磯部正和)