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小松菜奈『糸』で見せた圧巻の涙!「考えるよりも感じたことを」

小松菜奈
小松菜奈

 2014年に中島哲也監督の映画『渇き。』で衝撃を与えてから6年、着実にキャリアを積み実力をつけてきた女優・小松菜奈。最新作『』では、3度目のタッグとなる菅田将暉と共に、平成を駆け抜けた男女の機微を繊細かつ大胆な表現で演じ切った。劇中圧巻だったのは、数多く出てくる涙のシーン。それぞれ意味や思いが違うなか、“涙”をどんな思いで表現したのか小松が語った。

【写真】菅田将暉&小松菜奈、ガラス越しに見つめ合う…(映画『糸』より)

 小松演じる園田葵は、13歳のとき、菅田演じる高橋漣と北海道で運命的な出逢いを果たすが、家庭の事情で離ればなれになってしまう。その後、葵は東京、沖縄、シンガポールへと居を移し、自らの足で自身の道を切り開いていくが、さまざまなことが起こり、感情を吐露するシーンが多い。

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 台本を読んだとき小松は「喜怒哀楽の表情が豊かだな」と感じたという。この言葉通り、葵はときに感情的に、ときに静かに自らの心と向き合い胸の内を明かしていく。なかでも涙を流すシーンが多く、しかもその涙はそれぞれ深い意味を持つ。

 この点について小松も「台本を読んで結構泣くシーンが多いなと感じていました。一人の女性が地に足をつけて強く生きていく姿を表現したいと思っていたので、涙の強弱はすごく意識しました」と重要なポイントであることは意識していた。

 続けて小松は「泣きすぎてしまうと弱い子に見えてしまう。漣とは、ほとんどの時間を共有できていない関係なので、ちょっとの時間で再会したとき、『葵はちゃんと自分の人生を送っていたんだ』と思ってもらえるような女性でいなければいけない」と余白を想像してもらえるような芝居を心がけていたという。

 さらに、涙のシーンは「観ている人を飽きさせないようにしないと」という思いもあった。しかし、あまりに意識しすぎると固くなってしまうと考えた小松は、「頭で考えるよりも、その場で感じたものを素直に出そう」と自然体で臨んだ。

 なかでもシンガポール編のラストで流した涙は特に印象深かったという。「葵にとってシンガポールでのできごとはかなり大きな分岐点になっていて、その最後が一人でかつ丼を食べて涙を流すシーンでした。本当にあのときはこれまでの撮影がいろいろフラッシュバックされて、入り込めた時間でした」。ちなみに共演の菅田もこのシーンは「やばい」と絶賛していた。

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 そんな菅田との共演は、映画『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』に次いで3度目となる。小松は「これまでは割と暴力的な部分や、激しくぶつかり合うような関係性が多かったのですが、今回はまったく違う役柄。新しい扉を開いたという感覚があります」と語ったように、二人の表現にもチャレンジングなところがあったようだ。

 以前小松は菅田を「同士みたいな感覚」と話していたが、一方で俳優という仕事においては「ライバル意識」もあるという。「菅田さんに限ったことではないのですが、わたしは性格的に負けず嫌いなので、相手との関係でよい化学反応を起こしたいという思いがあります。相手が自分の存在によって良く見えるというのはすごくやりがいになります。もちろん逆もしかりですが……」。

 常に前に向かって進みたいという小松。その意味で、本作で演じた葵には共感するところが多いという。「葵は自身で未来を切り開いていきますが、わたしもどちらかというと、留まっているタイプではないんです。新しい場所に飛び込んでみるのは、怖い部分もありますが、意外と『なんとかなるでしょ』と思える性格」と自己分析すると「この仕事は現場によって『初めまして』になって、新しい関係性ができる。わたしには合っていると思います」と笑顔を見せる。

 そのためには、常に全力投球。「自分がしっかり向き合わないとダメ。そうすれば周囲には手を貸してくれる人もいる」。こうした思いで小松は、今後も止まることなく女優道をひた走っていくのだろう。(取材・文・撮影:磯部正和)

映画『糸』は公開中

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