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あまりに美しい先住民と今はなき豊潤なアフリカの大地が記録された70年前の冒険映画

映画『キング・ソロモン』(1950年)
映画『キング・ソロモン』(1950年) - United Archives / Getty Images

 地球温暖化の影響が最も脆弱な地域といわれるアフリカが、まだ豊潤な大地であった70年前に全編アフリカロケで撮影された映画がある。『キング・ソロモン』という冒険活劇だ。

 1960年代から続いたアフリカの干ばつは80年代以降さらに悪化、動物の生態系にも影響してアフリカの姿を大きく変えてしまった。しかし、本作が撮影された1940年代後半は、豊潤な緑の大地を動物たちが生き生きと闊歩(かっぽ)する。また、この映画には土地の先住民をそのまま出演させているが、驚くのが彼等の美しさだ。ケニアでも撮影されていることや身体的特徴からマサイ族と思えるが手足が長く、身にまとう極彩色の衣服はいまみてもどれもパリコレに出てきそうなほどカラフルでファッショナブルだ。

 それらの美しきアフリカを映し出すカラー技術は1950年初頭まで映画スタジオが、こぞって採用していたテクニカラーという彩色技術。色の再現クオリティーは高く評価されており、当時のアフリカを生き生きと美しく映し出し、記録映画としても価値がある作品だ。

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 ストーリーは単純明快。幻の秘宝を求めてアフリカに旅立ち行方不明になった夫を探す美しき妻とガイドを依頼された男アラン・クォーターメンという探検家が共に大自然の驚異に立ち向かいながら秘境にある幻の秘宝の地を目指すという冒険活劇だ。

 イギリスのファンタジー作家ヘンリー・ライダー・ハガードの原作に基づいており、最初に1937年にイギリスで映画化され、後にシャロン・ストーンが出演した『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』(1985)にもなったが、その同じ原作の映画化の中でも本作は出色の出来と言われている。

 ヘンリー・ライダー・ハガードの冒険小説にはアラン・クォーターメンという探検家がたびたび登場するが本作もアラン・クォーターメンが主人公だ。このアラン・クォーターメンは、インテリだが身体能力が高くハンサムという設定で、後に製作された冒険映画でたびたびモデルにされており、スティーヴン・スピルバーグとジョージ・ルーカスが生み出したインディ・ジョーンズも彼が原型と言われている。また『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』でショーン・コネリーがアラン・クォーターメンそのものを演じたりもしており、80年代から90年代にブームだった冒険映画のヒーローの原型でもある。(編集部:下村麻美)

製作年:1950年(103分)カラー
製作国:アメリカ
監督:コンプトン・ベネット、アンドリュー・マートン
出演:スチュワート・グレンジャー、デボラ・カー、リチャード・カールソン
アカデミー撮影賞、アカデミー編集賞受賞作品

映画『キング・ソロモン』(1950年)8月28日23:00~金曜レイトショーにて無料配信

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