イケメンなだけじゃない!「愛の不時着」ヒョンビンに恋する映画7選
Netflixオリジナルシリーズ「愛の不時着」で北朝鮮のエリート将校を演じて、「韓国ドラマなんて観ない」と言っていた人々さえも引き込んで、どっぷりと沼に浸からせたヒョンビン。ああ、もう彼を知らなかった頃には戻れない。そんなあなたに、単にイケメンというだけでなく、俳優として着実に演技を磨き、幅を広げてきたヒョンビンの魅力をさらに深掘りするための映画7選をご紹介。(前田かおり)
『百万長者の初恋』(2006)
ドラマ「私の名前はキム・サムスン」で一躍ブレイクしたヒョンビンが映画初主演を飾った青春ラブストーリー。18歳の誕生日に亡き祖父の莫大な財産を相続することになっている財閥御曹司が、その相続の条件として田舎の高校に通うハメになる。正直、高校生という設定には少々ムリを感じるものの、都会育ちのわがままお坊ちゃまが田舎の女子高生に翻弄され、思い通りにいかずにスネてみたりなど、お得意のツンデレ演技が何ともカワイイ。四季折々を感じさせるのどかな風景の中で描かれるティーンエージャーのピュアな恋物語にもハマり、ヒョンビン演じる御曹司の初恋には涙腺崩壊、必至です。
『レイトオータム』(2010)
母の葬儀のために3日間の外出が許された模範囚の女性が、シアトルに向かう長距離バスの中でエスコート・サービスの仕事をする男性と出会い、思いがけず愛を深めることに。韓国の往年の名作『晩秋』(1966)の舞台を、米・シアトルに置き換えてリメイク。何をやっても似合うヒョンビンとはいえ、リーゼントヘアーの軽薄なホストという風貌&キャラはさすがにハードルが高かったか!? と思いきや、妙に馴れ馴れしいけれど、どこか憎めず、心根は優しい男を好演し、ワケありなヒロインの心をとらえるのに説得力を与えている。相手役を演じるのは『ラスト、コーション』などの中国人女優タン・ウェイ。彼女とのやり取りは全編、英語。霧のシアトルを舞台にして大人のロマンスをしっとりと楽しませてくれる。ヒョンビンのロングコート姿が素敵!
『王の涙 イ・サンの決断』(2014)
名君の誉れ高いイ・サンの暗殺未遂事件を史実とフィクションを交えて描く歴史ドラマ。ヒョンビンにとって除隊後、初の復帰作にして初の時代劇で、オープニング早々、鍛え上げた美しい胸筋を披露するのに始まって、剣術、弓術、馬術もマスターし、刺客に立ち向かうことで真の王へと成長する姿を雄々しく演じる。共演者も名優ぞろいで、王が友と信じる宦官に『殺人の告白』のチョン・ジェヨン、凄腕の刺客には「賢い医師生活」のチョ・ジョンソクなどそれぞれとのアンサンブルもしびれる。とくに、彼を陥れようと画策する王太后役のハン・ジミンとの対峙シーン。ドラマ「イ・サン」では可憐なヒロインを演じた彼女とは真逆なだけに、ゾクゾクせずにはいられない。そして、タイトル通り、王の涙が見ものなわけだが、出演作では涙を流すことが多いヒョンビン。本作では、父を思い、民を思い、唯一無二の友を思って泣く。こんなに涙顔が美しく、サマになる男優っていない!
『コンフィデンシャル/共助』(2017)
韓国に逃亡した北朝鮮の犯罪組織を逮捕するため、両国の刑事がタッグを組むバディ・ムービー。妻を殺され、復讐に燃える北朝鮮のエリート刑事チョルリョンを演じるヒョンビンが徹頭徹尾カッコいい。クルマが行き交う道路で縫うように走りながら敵を追いかけ、接近戦で武器がなければトイレットペーパー(!?)を使って応戦。キレッキレで流れるようなアクションシーンを繰り出す彼にしびれっぱなしだ。対する韓国の庶民派熱血刑事ジンテを演じるのが、『1987、ある闘いの真実』などの名脇役ユ・ヘジン。頼りないけど情に厚いジンテを信じ、国の違いを越えて「兄貴」と呼ぶまでになるチョルリョン。寡黙な男の心情を演じさせたら、ヒョンビンに敵う者ないな。
『スウィンダラーズ』(2017)
韓国で実際に起きたマルチ商法詐欺事件を題材にした犯罪アクション。希代の詐欺師を捕まえようとチームを組んだ詐欺師集団とエリート検事の攻防を描く。ヒョンビンが演じるのは、詐欺師だけを騙す詐欺師で、チームのリーダー的ジソン。初の詐欺師役だが、頭がキレ、本音をなかなか明かさぬクールな役どころはハマリ役だ。内容的には『オーシャンズ』シリーズや『コンフィデンスマンJP』といったケイパームービーで、最後の最後まで全く予測のつかない展開で、大どんでん返しも待っている。そんな中で、ヒョンビンも変装に次ぐ変装に、声音も変えるなど詐欺師として大活躍し、観ているこちらを痛快なまで騙してくれる。というワケで、これ以上、何も知らずに観た方が、ヒョンビンの魅力を最大限楽しめるはず。
『ザ・ネゴシエーション』(2018)
ヒョンビンが初の悪役に挑み、「愛の不時着」より前にソン・イェジンと共演した心理サスペンス。ヒョンビンが演じるのは、国際犯罪組織のテロリスト。イェジン演じるソウル市警のエリート交渉人を相手に、ふっと唇を緩めて笑顔で話していたかと思えば、突如キレる。狂気のスイッチがどこで入るか予測不能。こんなキャラのヒョンビンは初めてと言っていいだけに驚きだが、撮影当時のコメントで「観客に何を考えているか読めないようなキャラクター作りをした」と明かしており、彼自身、楽しんで演じたようだ。というわけで、彼の思いを想像しつつ観ると面白さも倍増。イェジンとのモニター越しの攻防戦、この2人が国境超えて愛し合うカップルを演じたのかと思うと、それもまた興味深い。
『王宮の夜鬼』(2018)
朝鮮王朝時代を舞台に、歴史劇×ゾンビ映画がドッキングした異色スリラー。謎の怪物“夜鬼”に咬まれると、咬まれた人間も凶暴化する。その夜鬼を利用して、謀反を企てる宮廷の権力者と王子の戦いを描く。ヒョンビンが演じるのは、王の後継者であることに全く無関心な王子。だが、国の危機を目にして天性の王としての資質に目覚めていくというキャラクターを体現する。『コンフィデンシャル/共助』でも組んだキム・ソンフン監督の下、ヒョンビンは長剣をふるい、バッタバッタと夜鬼をなぎ倒すソードアクションに、ワイヤーアクションで宙を飛ぶ。暴れっぷりが華麗だ。対する冷酷非道な権力者を演じるのが、チャン・ドンゴン。さすが韓国エンタメ界のトップならではの存在感は圧倒的。クライマックスの対決シーンは迫力満点だ。