竹内涼真、本人役ドラマで自分を見つめ直す「こういう作品に飢えていた」
連続テレビ小説「ひよっこ」(2017)でブレイクして以来、主演映画『センセイ君主』(2018)、日曜劇場「テセウスの船」(2020)での主演を経て、着実に活動の幅を広げる竹内涼真。そんな彼が、本人役として主演を務めるWOWOWオリジナルドラマ「竹内涼真の撮休」が間もなくスタートする(11月6日より毎週金曜深夜0時~WOWOWプライムで放送)。竹内は本作の撮影を終え「自分を見つめ直すことができた」と振り返るが、その真意は? 自分で自分を演じるという稀有な体験で得たものを明かした。
本作は、今年3月から5月にかけて放送された「有村架純の撮休」に続き、突然撮影が休みになった俳優の1日を描く異色ドラマの第2弾。スパイス屋でセクシーな女店主と出会ったり、妹と人生を語ったり、同級生とバーベキューをしたり、8つのエピソードで竹内がさまざまな自分を演じ分ける。
“自分”を演じるのに必要なこと
自身の名前がタイトルになっている本作に、「第1弾の有村さんのシリーズの時からこの企画にものすごく興味があって、お話をいただいたときはすごくうれしかったんです。自分の名前がタイトルにあるのは少し照れ臭くはあるのですが、日常を普遍的に描いた作品に飢えていたこともあって企画の内容に前のめりになっていました」
あくまで描かれるのは竹内の架空の休日だが、自分自身を演じることにどのように取り組んだのか。「いかに新鮮なリアクションをみせるか、ということを大事にしました。脚本が面白いのでお芝居のアイデアはどんどん湧いてくるんですけど、一番重要なのはどうやって共演者の方々に巻き込まれるかということ。そうするには自分がリラックスして柔軟にならないと、相手のお芝居をキャッチできないので、頭の中であまりイメージを決めていかないようにしていました」
本作では、『余命1ヶ月の花嫁』『娚の一生』などの廣木隆一、Netflixドラマ「全裸監督」『ミッドナイトスワン』の内田英治、『脱脱脱脱17』『21世紀の女の子』の松本花奈ら、初めて組んだ監督たちにも刺激を受けたという。「廣木監督は、力の抜けた素の僕が見たいとおっしゃっていて、何とかそこにハマれないかとさまざまなリアクションを試みました。ちなみに廣木監督の『シェアハウス』(第4話)は、ほぼ全編長まわしだったのですが予想以上に順調に進んで、10時間巻きで撮影が終わるなんてこともありました(笑)」
実人生とシンクロする描写
本人役ということで、竹内がこれまで出演してきた作品を彷彿とさせる描写が多々あるのも、本作のユニークな点。例えば、第5話「老婆との休日」では劇中に竹内が主演を務めた「テセウスの船」を思わせるドラマが登場する。竹内を昔の恋人と勘違いする女性の役で共演した富司純子とは現場でもよく話したといい、富司は「テセウスの船」も毎週観ていたそう。「あくまで『テセウス』風で、まったく違うドラマになっているので、富司さんはオンエアをご覧になったらがっかりされるかもしれません(笑)」
また、最終話の「同級生」では竹内が久々に再会した同級生たちとバーベキューに興じるなかでスターゆえの孤独が描かれる。フィクションといえど、竹内の実人生とリンクするところもあるのではないかと感じる人も多いはずだが、果たして……?「実際には、同級生たちからよく『変わってないね』と言われます。自分的には変わっているはずなんですけど……(笑)。僕の周りはスポーツをやっている友人が多いのですが、高校の時のまんまです。ただ、人目に触れる仕事なのでやはり羽根を伸ばしたいと感じることはあって、ふと“もしこの仕事をやっていなかったら”と妄想することはあります」
本作でのこれまでにない取り組みがトレーニングにもなったという竹内。撮影を通じて2つのことを得られたといい、「一つは自分を見つめ直すことができたこと。二つ目は、自分はやはり演技が好きなんだということ。いろいろなシチュエーションを短い期間で演じられて楽しかったですし、同時にもっと勉強しなくては、とも思いました」と充実した表情。
来年は、映画『太陽は動かない』(3月5日公開)、日本テレビ系とHuluで全2シーズンにわたって放送・配信される主演ドラマ「君と世界が終わる日に」が控えるほか、5月に上演されるミュージカル「17 AGAIN」では初の舞台に挑戦。現在、歌とダンスのレッスンにも励んでいる。(取材・文:編集部・石井百合子)