妻夫木聡、夢ではなかった俳優業もいまでは虜に!
原作コミックでも名作と名高い「おばあちゃんのおもいで」を中心としたハートフルな物語が展開する映画『STAND BY ME ドラえもん 2』(公開中)で、前作から引き続いて“大人のび太”の声を担当した俳優・妻夫木聡。おばあちゃん役の宮本信子とともに「幼少期に感じた未来」について思いを明かした。
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ドラえもん50周年記念作品として製作された本作は、2014年に公開されて大ヒットを記録した3DCGアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』で描かれた「のび太の結婚前夜」の翌日にあたる結婚式当日が舞台の感動ストーリー。当然、物語には青年時代ののび太も登場するが、声で演じるのはもちろん妻夫木だ。
妻夫木といえば、トヨタ自動車のCM「未来のドラえもん編」で30歳ののび太を演じていたこともあり、前作で大人のび太にキャスティングされたときにも大きな反響があった。妻夫木自身は「前作では受け入れられるのかなという怖さや心配があった」と胸の内を明かすが、「映画が公開されると、温かい言葉をかけていただきました。その安心感があったので、今回は伸び伸びと演じられました」と笑顔を見せる。
一方の宮本は台本を読んだときに、声を吹き込んだおばあちゃん像を「のび太くんを丸ごと大きく包み込んであげられる人だなと感じました」と語り、優しさと芯の強さが垣間見えるように感情を出し入れしたという。劇中、のび太は幼稚園のころに亡くなった大好きなおばあちゃんが繕ってくれたくまのぬいぐるみを見つける。もう一度おばあちゃんに会いたいと思ったのび太は、タイムマシーンで3歳のころの過去に戻り、おばあちゃんの気持ちを知って未来へ思いを馳せる。
妻夫木自身、子どものころは「俳優になりたい」と思うどころか「こういう大人になりたい」といった夢もなかったそう。目の前にあることに向き合うことだけで精一杯。そんななか、あるオーディションに合格したことで芸能界入りを果たし、俳優という道が眼前に開けた。
大変なことも辛いこともあったが、気がつくと俳優という仕事に魅了されていた。「いままでいろいろな物事に関わっていくなかで、こんなにも好きになったことはなかった」と言い切る妻夫木。その魅力について「お芝居をしていること自体ももちろん好きなのですが、俳優という仕事の根本に惹かれるんです」と語る。
その根本にあるのは、人生のすべてが俳優業に生かせるということ。そして仲間とともに作り上げた作品を観た人に、なにかしらの影響を与えたり、自分自身もいままで気づかなかった感情に出会えるということ。生きていて感じることすべてが俳優業に繋がることは、妻夫木にとってはとてもエキサイティングなことだという。「僕自身も俳優という仕事からいっぱい幸せをもらっているんです」
いまや日本の映画界には欠かせない俳優としての評価を得ており、作品は途切れることがない妻夫木。これまでの受賞歴も枚挙にいとまがないが、なによりも「『この役はあなたにしかできないんです』と声をかけてもらえることが、かけがえのないことなんです」としみじみ。
「人から求められることが役者をやっていて一番嬉しいです」と語る妻夫木に、宮本も「それが一番です。わたしもそれしかない」とうなずきながら「あなたは、これだけたくさんの作品に出演し続けているのだから必要とされているし、俳優業が向いているのですよ」と太鼓判を押す。続けて、自身がナレーションを務めた大河ドラマ「天地人」で、妻夫木が直江兼続を演じていたことに触れて「本当に良かった。お芝居を観ていて、とても純粋な方だなと感じました」と俳優・妻夫木聡の魅力を語った。(取材・文・撮影:磯部正和)