「エール」窪田正孝、リハなし&一発撮りに込めた渾身のセリフ
今週末に最終回を迎える連続テレビ小説「エール」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか)で主演を務めた窪田正孝。撮影を振り返り、古山裕一(窪田)が妻の音(二階堂ふみ)と二人の夢について語るシーンでの裏話を明かした。
連続テレビ小説102作目となる「エール」は、作曲家の古山裕一と音の夫婦が昭和という激動の時代を生きる姿を描く物語。現在は最終週に突入している。
この1年を「本当にあっという間でした」と振り返る窪田。「実は撮影が終わったという実感があまりないんです。放送が続いているというのもありますが、今は、大量の台本や指揮やオルガン、ハーモニカなど、指導いただいた時の資料などを整理したりしています。先日、福島に行って古関裕而さんのお墓に無事に終われたことを報告できてホッとしましたね。これからだんだんと実感していくんですかね(笑)」と心境を明かす。
そして、物語では夫婦が二人三脚で歩む姿や個性豊かな登場人物たちの活躍も印象を残した。「現場ではさまざまなキャストを迎えては送り出すということをしてきました。そういったみなさんとの出会いや芝居の経験は僕自身の強みになりましたし、今後に向けての大きな財産にもなりました。各話で出演されたみなさんが静と動の“動”を担ってくださったので、裕一が“静”として生きられたんだなと思っています。大きなところで言うと、音が動としていてくれました。本来ならば静と動を一人でやらなければならなかったところを二人でできたというところは、ほかの“朝ドラ”にはない特徴だなと思います」
なかでも窪田にとって、第10週「響きあう夢」で裕一が音の夢をあずかるところが印象深いという。「子どもができるとやっぱり優先順位は変わりますし、でも夢も諦めたくない、諦めてほしくなかった。そこで裕一が『音の夢をあずけてくれないか』と言えたことは、二人が互いにないものを補えているからこそ成立したセリフだったと思います。しかもあのシーンは、リハもなく一発本番。音を演じるふみちゃんの気持ちの高ぶりを肌で感じながら、スタッフ含め現場全員が一つの方向を向けた瞬間でしたね」と述べる。
今回の朝ドラでは、撮影の中断も余儀なくされるなどの困難もあった。「戦争のシーンもつらい部分はありましたけど、やっぱりコロナウイルスの影響で撮影の流れが止まったこと、そしてスタジオにこもりっきりになるほど撮影が続いたことは正直つらかったです。だから、ロケがとにかく楽しくて(笑)。そして、僕ら役者と近い場所にいたスタッフのみなさんとお菓子の話をしたり健康器具で癒やされたりするのが心のケアになったというか。だから最後までできたというのはあります」
そんななかで一つ心残りなことも。「このコロナ禍で1年も撮影していたのに打ち上げができていないことです。“福島三羽ガラス”の鉄男役の中村蒼さん、久志役の山崎育三郎さん、そして藤堂先生役の森山直太朗さんとも、コロナが落ち着いたら、『エール男子会しようぜ』と盛り上がっているところなんです。それから、福島にある古関さんゆかりの信夫山(しのぶやま)の散策もしたいなと計画しているんです。ぜひこれらを実現したいですね。今は、そんな日がくるのを楽しみにしています」とこれからの展望を語った。(編集部・大内啓輔)