岩田剛典の「おうち時間」の過ごし方
今年は映画『AI崩壊』『空に住む』(公開中)『新解釈・三國志』(公開中)などで物語のカギを握る人物を演じ、来年1月には主演作『名も無き世界のエンドロール』の公開が控える岩田剛典。近年、ますます俳優として役の幅を広げている彼が、コロナ禍で外出も仕事も自粛せざるを得なかったステイホーム中に、新たな趣味に目覚めたという。幼少期より図画工作が得意だったという岩田が、いかに絵画にハマっていったのか。それは岩田に何をもたらしたのだろうか。
昔から絵を描くのが好きだった
ステイホームを「ゲームをやったり、映画を観たり、ドラマを見たり。そういうことすらネタが尽きてきて、いよいよ“何かしなきゃ”と思って」と振り返る岩田。「もちろん語学の勉強などは続けていましたが、学ぶ系とは別の……楽器など何か身につくものがしたいな、と考えたとき、昔からデザインや絵が好きだったことを思い出して」と久しぶりに絵を描くことを思い立った。同時に、「子供のころは絵を描くことが好きで得意だったけれど、大人の感性で向かい合ったら何が描けるんだろう、という興味もすごくありました」と思い返す。
思い立ったが吉日のごとく「すぐに画材をネットで注文し、自宅にイーゼルを立て、キャンバスに描き始めたら……仕事のことを完全に忘れられる時間になっていた。それはインプットできる時間でもあり、リフレッシュできる時間でもあり、そうなれる時間を見つけられただけでも、すごい収穫でした」と微笑む。
肝心の絵の内容といえば、「まずは、これまで自分が触れて感動した経験を絵にしてみようと思いました。海外で見た景色、好きな映画のワンシーンなど。例えば夏には映画『ダンケルク』のワンシーンを描きました。記憶から切り取って描いていましたが、段々とそれにも飽きてきて、最近は抽象画みたいなところに入ってきました。何となくモチーフだけを決め、ざっくりデッサンをしたら、すぐに色を付けていく。すごく楽しくて、仕事を再開した今も、気づいたら描き続けています」と完全に趣味として定着したようだ。
「おうち時間」を充実させつつ、「期間中は、とにかく沢山のトレーナーやTシャツをダメにした」と笑う。「気を付けていても、フと振り向いた瞬間、腕とか体に無茶苦茶(絵具が)つくんですよ。しかも油絵なので洗っても落ちない。だから今はもう、捨ててもいいようなタンクトップか上裸で描いてます」
三代目 J SOUL BROTHERSデビュー10周年を迎えて
今年は、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE デビュー10周年という、記念すべき年でもあった。「9月から毎月オンラインライブを開催させていただいていますが、11月10日が三代目にとって10周年という節目だったので、スペシャルなライブパフォーマンスを開催しました。かなり凝った構成・演出で、映像もメンバー各々がアイディアを出し、一から作り上げて。多くの視聴者の方々に見ていただくことができ、感謝の気持ちでいっぱいです」と感慨深げ。岩田がグループについて語るときは、一層表情に力が加わる。
今後のグループの動向について尋ねると、「これまでも常々、より質の高いエンターテインメントをファンの方々にお届けできるように活動してきたので、基本的に何か気持ちが変わることはありません。これまでの10年、ファンの皆様がいなかったら、自分たちも予想していなかった現状には居られなかったはず。これまで一緒に三代目を育ててくれた、8人目のメンバーだと思っています。感謝の気持ちで、これからもファンの方々と一緒にJ SOUL BROTHERSの歴史を作っていく。そういう時間を一緒に過ごせたら、と。メンバー一同、少しでも恩返ししていきたいと思っています」と決意を新たにした。
来年1月に主演作が公開
そんな岩田が来年1月29日に公開が予定されている主演作『名も無き世界のエンドロール』では、幼なじみ(新田真剣佑)のために裏社会に足を踏み入れる青年を演じている。共に親がないという似た境遇で育ち、強い絆で結ばれた幼なじみのマコトは表社会で、キダ(岩田)は裏社会で、それぞれのし上がっていくのだが……。
原作は、岩田が「この物語自体が大好きだった」と語る、小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名サスペンス小説。『ストロベリーナイト』シリーズなどの佐藤祐市監督がメガホンをとった本作を、岩田は「何度でも見返したい作品になっている」と自信を覗かせる。学生時代から2人が見せる無邪気な笑顔やじゃれ合いと、以後、ある目的のため別人のようになりゆく変貌は、物語にとってもファンにとっても、2度美味しい味わいになっている。(取材・文:折田千鶴子)