野村萬斎×三谷幸喜SPドラマ「死との約束」放送決定 名探偵・勝呂武尊が3年ぶり復活
アガサ・クリスティ原作、三谷幸喜脚本、野村萬斎主演による日本版名探偵ポアロシリーズの3弾となるスペシャルドラマ「死との約束」(2021年放送予定)が、約3年ぶりに放送されることが15日、フジテレビより発表された。クリスティが1938年に発表した同名小説に基づき、舞台を世界遺産にも登録されている熊野古道に、時代設定を昭和30年代に置き換え、とある一家の母親が死亡する事件の顛末が描かれる。出演者に、鈴木京香、比嘉愛未、長野里美、阿南健治、坪倉由幸(我が家)ら。名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)を演じる萬斎は「三谷さんは、すでに『黒井戸殺し』を撮影している頃から今作の構想がおありだったようで、“次回は勝呂が淡い恋をする…”とおっしゃっていたんです。その通り、今回は女性に囲まれている!という、とても華やいだ心地がしております(笑)」とコメントしている。
本作は、「オリエント急行殺人事件」「アクロイド殺し」に続いて、三谷がクリスティの名探偵ポアロシリーズを和製ミステリーとしてアレンジしたスペシャルドラマの第3弾。原作の「死との約束」はピーター・ユスティノフ主演で1988年に『死海殺人事件』のタイトルで映画化もされている。
休暇で和歌山の熊野古道を訪れた勝呂(萬斎)が、ホテルのバルコニーで「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」という言葉を耳にした翌日、家族全員で日本中を旅しているという本堂家の夫人が死体で発見される事件が発生。夫人は家族を支配する独裁者のような印象で、家族には全員動機、アリバイがあった。勝呂はホテルで居合わせた他の客たちも巻き込みながら、推理を繰り広げていく。
勝呂を演じる萬斎にとってドラマ出演は、本シリーズの2弾「黒井戸殺し」(2018)以来、約3年ぶり。本作に「毎回、謎解きでは長いシーン、長いセリフがありますが、監督からも、“3年に一度の苦行をしてください”と言われています(笑)。もちろん、そこが見せ場ですが、僕にとっては一番大変なところでもあります。でもその分、視聴者の皆様には存分に楽しんでいただけると思っています」とコメントしている。
発表されたキャストは、勝呂が旅行先で出会う代議士・上杉に先ごろドラマ「共演NG」(テレビ東京)も話題を呼んだ鈴木京香。医師・沙羅に比嘉愛未、税理士・十文字にお笑いトリオ・我が家の坪倉由幸。上杉に随行する編集者・飛鳥に長野里美、勝呂に捜査を依頼する警察署長・川張に阿南健治。ドラマはすでにクランクインしている。
本シリーズは、フジテレビ開局55周年特別企画として2夜連続で放送された「オリエント急行殺人事件」(2015年1月11日・12日)が第一夜・16.1%、第二夜15.9%を記録。2018年に第2弾「黒井戸殺し」(2018年4月14日)が放送された(視聴率はビデオリサーチ調べ。関東地区・世帯視聴率)。
三谷(脚本)、萬斎、鈴木のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
三谷幸喜(脚本)
「『死との約束』は、アガサ・クリスティーの隠れた傑作です。ポワロ物で、僕がいちばん好きな作品です。事件が起こるまでのワクワク感。真相が明らかになっていくドキドキ感。そしてラストのあまりに意外な犯人。今回も原作のテイストを損なわないように脚色しました。キャスティングも完璧です。極上のミステリーを堪能あれ!」
野村萬斎(勝呂武尊役)
「今回は、トリックが前作とは全く違っていて、ある意味、ご覧の皆さんが、“裏切られる展開”かもしれません。そして、勝呂がシリーズを追うごとに、人間味を増してきている気がしています。三谷さんは、すでに『黒井戸殺し』を撮影している頃から今作の構想がおありだったようで、“次回は勝呂が淡い恋をする・・・”とおっしゃっていたんです。その通り、今回は女性に囲まれている!という、とても華やいだ心地がしております(笑)。毎回、謎解きでは長いシーン、長いセリフがありますが、監督からも、“3年に一度の苦行をしてください”と言われています(笑)。もちろん、そこが見せ場ですが、僕にとっては一番大変なところでもあります。でもその分、視聴者の皆様には存分に楽しんでいただけると思っています。熊野古道という日本有数のパワースポットが舞台になっているところも今回の見どころのひとつです。コロナ禍で、家にいる時間も多い昨今ですが、このドラマで、皆さんご一緒に熊野を旅しながら楽しんでいただければ、と願っています」
鈴木京香(上杉穂波役)
「『オリエント急行殺人事件』も『黒井戸殺し』も見ていましたから、今回のお話はすごくうれしかったです。しかも、名探偵・勝呂のかつての知り合いだった女性という役。台本が待ち遠しかったです。映画『死海殺人事件』も見たのですが、エキゾチックな舞台を日本に置き換えても違和感なく、より一層面白い。三谷さんの脚本の素晴らしいところだなと思いました。そして、政治家は一度やってみたかった役でもあります。昭和30年代の女性政治家は、きっと当時では珍しく、目立つ存在だったと思うので、その役を演じられるのはとても光栄なことです。萬斎さんは、さすが動きがきれいで、セリフ回しにも品格がある、とてもチャーミングな方。三谷さんが、“ポワロに並ぶ日本の名探偵を作りたい”と、勝呂を萬斎さんに、とおっしゃるのがわかるような気がします」