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大回顧展が開催中!石岡瑛子さんの映画衣装を振り返り

アカデミー賞で衣装デザイン賞に輝いた『ドラキュラ』(1992)より
アカデミー賞で衣装デザイン賞に輝いた『ドラキュラ』(1992)より

 1960年代から2000年代まで、稀代のアートディレクター、デザイナーとして活躍した石岡瑛子さん。現在、世界初の大規模な回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が東京都現代美術館で開催中だ。展示会では、資生堂の化粧品広告、パルコのキャンペーン、オリンピックのユニフォーム、オペラ&舞台の衣装・美術、そしてマイルス・デイヴィスレニ・リーフェンシュタールビョークら名だたる表現者たちとのコラボレーションが一挙に見られる。その中でも、アカデミー賞衣装デザイン賞に輝いた『ドラキュラ』(1992)をはじめ石岡さんが参加した映画を振り返る。

【写真】石岡瑛子さんが手掛けた衣装

 残念ながら日本では未公開だが、『タクシードライバー』の脚本家として知られ日本にもゆかりの深いポール・シュレイダー監督による『MISHIMA』(1985)ではプロダクションをデザインを手掛けた石岡さん。三島由紀夫の生涯を、三島の作品世界を交えながら描いた本作では、真っ二つに割れた金閣寺をはじめ革新的、実験的な試みが見られる。キャストに緒形拳沢田研二坂東八十助と錚々たる日本人俳優が集結し、ジョージ・ルーカスフランシス・フォード・コッポラが製作総指揮に参加。カンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞した。

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 石岡さんの名を世界に轟かせることになったのが、第65回アカデミー賞で衣装デザイン賞に輝いた『ドラキュラ』。巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督と組んだ本作では、既存のイメージを覆すドラキュラ伯爵のイメージを構築。展示会で見られるのはドラキュラ伯爵の赤いマント、女性たちのドレスなど動植物をモチーフにした衣装の数々。ブラム・ストーカーの小説に基づくストーリーで、ゲイリー・オールドマンが恐ろしくも哀しいドラキュラ伯爵を怪演。共演にウィノナ・ライダーアンソニー・ホプキンスキアヌ・リーブストム・ウェイツらスターがズラリ名を連ねた。

ザ・セル
『ザ・セル』(2000)より New Line Cinema/Photofest/ゲッティ イメージズ

 そして、石岡さんが4度にわたって組んだのがインドの鬼才ターセム・シン。2人のコラボはターセムの長編初監督作『ザ・セル』(2000)に始まる。ジェニファー・ロペス演じる心理学者が意識不明に陥ったシリアルキラーの心の中に入り、監禁された女性の行方を割り出そうと奔走するサイコスリラーで、見ものは心の中の不思議な映像。部屋の壁(スクリーン)と思われていたものが巨大なマントに変身するシーンなど、石岡さんの衣装なしに成立しないといっても過言ではない。先のドラキュラ伯爵の甲冑と同様、心理学者が心の中に入る装置で着用するスーツも赤で、筋肉を彷彿とさせるデザインとなっている。

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白雪姫と鏡の女王
『白雪姫と鏡の女王』(2012)より Relativity Media/Photofest/ゲッティ イメージズ

 展示会では『落下の王国』(2006)『白雪姫と鏡の女王』(2012)などの衣装が見られる。とりわけ白雪姫(リリー・コリンズ)のオレンジとブルーを基調にした色鮮やかなドレス、スワロフスキー・エレメントがふんだんに用いられた女王(ジュリア・ロバーツ)のウエディング・ドレスは圧巻。

 「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」は2月14日まで開催中。(編集部・石井百合子)

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