朝ドラにディズニーのヒロイン!躍進続く吉川愛の原動力は「褒められたい」という思い
ディズニー・アニメーション最新作『ラーヤと龍の王国』で、ヒロイン・ラーヤの日本版声優を務めた女優の吉川愛。2021年は本作で大役を務めたほか、連続テレビ小説「おちょやん」をはじめ、数々のテレビドラマや映画への出演が続く。本人は芝居について「課題だらけ」だと話すが、前に進む原動力になっているのは「褒められたい」という思いだという。
小さい頃から大好きだったというディズニー・アニメーション。子供時代から芸能界に籍を置いていたものの、吉川にとってディズニーの仕事というのは「夢」にもならないような遠い存在だった。本作のオーディションがあった際も「もちろん受けるからには受かりたい」という気持ちはありつつ、「自分がディズニーの世界に入れるなんて全く思っていなかった。オーディションでいい経験ができたな」とある意味で現実味はなかった。
しかし、結果は合格。知らせを聞いた時は、まるで夢の中にいるようだったというが、アニメーション独特の台本を読み、ラーヤという女の子を頭の中でイメージするようになったことで、一気に気持ちが切り替わった。
幼少期のトラウマから、人のことを信じられなくなってしまったラーヤ。吉川自身は、ラーヤのように人に裏切られるような経験はなかったというが、だんだん大人になるにつれて「すごく慎重に人を見てしまうようになってしまいました」とラーヤに感情移入する部分は多かった。
だからこそ、物語が進むにつれてラーヤが「人を信じること」の大切さを理解していくという変化を体現し、「わたしも自分を変えてみよう。もっと積極的に人と接するようになろう」と一歩前に進む力を作品からもらったと明かす。
現在21歳の吉川。子役として活躍した後、一旦芸能界を離れ、心機一転、女優活動を再開した。そんな吉川をずっと支えてくれたのが母親だという。「どんなにつらい時でも、常に支えて励ましてくれました。もちろんダメなところもしっかり言ってくれる。もし母親がいなければ、一人では何も決断できていなかったと思います」と感謝を述べる。
そんな吉川も今は、“自立した女性”を目指している。「私生活では一人で家事をするようになりましたし、部屋の片付けもしっかりできるようになっています」と胸を張る。一方で、女優業については「課題だらけで、まだまだです」と厳しい自己評価。
出演作品での評価も高く、大きく飛躍しているように感じられるが、本人は「あまり自分では変わっていると感じられないんです」と苦笑い。それでも周囲から「こういうお芝居もできるんだね」「すごくあか抜けたね」と声を掛けてもらえると「やっぱりうれしいです」と破顔する。
こうした視聴者やファンの言葉が、吉川の原動力になっている。「作品を観た方から『良かったよ』とか『面白かった』って褒めてもらえると励みになるし、うれしいです。わたしは褒められて伸びるタイプ(笑)。温かい言葉をいただけるからこそ、ここまでやってこられました」
そこには吉川なりの女優としてのポリシーが感じられる。「やっぱり作品を観てくれた人に一番喜んでもらいたい。感情を動かせるようなお芝居をしなければ、全く意味がないと思っています。だからこそ、視聴者の方が褒めてくださると、『あ、うまくできたんだな』と思えるんです」
人生において「夢はないんです」と断言した吉川。しかし、決してネガティブな思考ではなく「自分が“今”したいことをやりたいから」と理由は明白だ。吉川のやりたいこととは、作品を観てくれた人にさまざまな感情を与えること。
前述したように『ラーヤと龍の王国』は、声を演じた吉川が「一歩前に踏み出そう」と思えるほど強いメッセージ性がある作品だ。そんな作品に携わってラーヤを体現した吉川が、今後どんな表現でファンの心を動かしてくれるのか──、一層楽しみになってくる。(取材・文・撮影:磯部正和)
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