松坂桃李、ラブコメで連ドラ主演 麻生久美子と井浦新が二人一役でヒロインに
松坂桃李が、テレビ朝日系の4月期ドラマ「あのときキスしておけば」(毎週金曜よる11時15分~)で約2年ぶりに民放で連続ドラマの主演を務めることが3日、明らかになった。松坂が演じるのは、スーパーの青果担当として働く32歳の不運な独身男性。愛する女性の魂が見知らぬ中年男性に乗り移ったことから巻き起こるラブコメディーで、麻生久美子と井浦新が二人一役でヒロインを務める。プロデューサーに「おっさんずラブ」シリーズの貴島彩理らが名を連ねる。
松坂演じる桃地のぞむは、出世願望も恋愛願望もなく、勤務先でも失敗ばかりで、家にこもって漫画を読むことを唯一の趣味とする男性。ある日、スーパーのレジでクレーマーに絡まれていたところを、愛読する漫画の作者・蟹釜ジョーこと唯月巴(麻生)に助けられたことから知り合い、友だち以上恋人未満の関係に。しかし、巴は桃地と共に旅行に行った沖縄で事故死。桃地が悲しみに暮れていた矢先、勤務先のスーパーにも出入りする清掃業者の清掃員・田中マサオ(井浦)が現れ、「モモチ、私が巴なの」と告げる。
ポンコツな主人公を演じるのは、主演映画『あの頃。』が公開中の松坂桃李。同作では、ハロー!プロジェクトのアイドルを追いかけるオタク青年という役どころで話題に。民放の連ドラ主演は、2019年4月期放送の「パーフェクトワールド」(フジテレビ系)以来となる。愛する女性の魂が中年男性に宿ってしまうという奇想天外な設定に「台本を読んだ時、これは新しいジャンルの作品だ。予測のつかない面白さが生まれる気がしました。正直、一体どういうことなんだろう?と何度も読み返しては読み進める、そんな本でした」とコメント。
松坂にとって、麻生との共演は大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)以来、井浦とは初。「麻生さんとは大河ドラマ以来の共演ですが、コミカルなお芝居もシリアスなお芝居も魅力的に演じ分ける方なので、この作品においても信頼できるヒロインになって下さると思っています。井浦さんとは初共演なので未知数です。これまで様々な作品で目にしてきた井浦さんとも違う新たな井浦さんのアプローチが見られそうで、今からどう立ち向かおうかと試行錯誤しています」と期待を寄せている。
脚本を、「セカンドバージン」(2011)、「大恋愛~僕を忘れる君と」(2018)、「知らなくていいコト」(2020)などの大石静が担当。演出に「DOCTORS 最強の名医」シリーズ、「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(2020)などの本橋圭太ら。
松坂、麻生、井浦、脚本・大石のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)
金曜ナイトドラマ「あのときキスしておけば」はテレビ朝日系24局で4月スタート、毎週金曜よる11時15分~放送
松坂桃李(桃地のぞむ役)
台本を読んだ時、これは新しいジャンルの作品だ。予測のつかない面白さが生まれる気がしました。正直、一体どういうことなんだろう?と何度も読み返しては読み進める、そんな本でした。麻生さんとは大河ドラマ以来の共演ですが、コミカルなお芝居もシリアスなお芝居も魅力的に演じ分ける方なので、この作品においても信頼できるヒロインになって下さると思っています。井浦さんとは初共演なので未知数です。これまで様々な作品で目にしてきた井浦さんとも違う新たな井浦さんのアプローチが見られそうで、今からどう立ち向かおうかと試行錯誤しています。誰しも人生で一度は「あの時、こうしておけばよかった」と思う瞬間を経験しているのではないでしょうか。そんな瞬間を柔らかくポップに皆様にお届けできるように作り上げていきたいです。そして、井浦さん演じる田中マサオと麻生さん演じる唯月巴を桃地として全力で愛していけたらと思っています。
麻生久美子(唯月巴役)
台本を読んでまず、設定が非現実的で面白く、二人で一人の役を演じるということも新鮮で惹かれました。圧倒的な才能の持ち主でセレブの女性が、中年のおじさんの中に入ってしまうことで起こるさまざまな出来事。それが面白くもあり、切なくもなるというストーリー展開が素晴らしくて、今は先が気になって仕方ありません。私が演じる唯月巴は強さと弱さを併せ持った、才能溢れる天才。その人物を私と井浦新さんの二人で演じるという新たな挑戦をします。“二人一役”という、共同作業が必要になりそうなところもまた私にとっていい経験になると思いますし、キャラクターに深みが出そうで楽しみです。今まで演らせていただいたことがない役ですので、思い切って振り切って演じたいと思います。松坂桃李さんとは大河ドラマ『いだてん』で少しだけ、井浦さんとは映画・舞台・ドラマなどを経て今回また久しぶりにご一緒します。長身なお二人の恋愛模様がどのような感じで描かれるのか楽しみですよね。コメディー作品は本当に毎回難しく、挑戦だと思っています。一風変わった恋愛ホームドラマになるかと思いますが、毎週放送を楽しみにしてもらえる作品にできたらいいなと思っています。
井浦新(田中マサオ役)
友人でもある貴島彩理プロデューサーからお話をいただき、即答で「やりたいです」とお返事をしたんですが、台本を読んだ今はちょっと後悔しています(笑)。物語はもう、それはそれは面白くて、1話だけでも「なんだこれは!」というくらいのボリュームの出来 事が起きるので、松坂桃李くんと麻生久美子さんの恋模様の部分などもとても楽しく読んでいたのですが、いざ自分の役柄として台本と向き合うと、展開もすごいし、セリフも膨大で、きっと撮影は大変になるだろうなと逃げたくなってしまいました(笑)。今回の役に関しては、まだどんな風にお芝居をしよう、というイメージは固まっていないのですが、「何か新しいことをしたい」という気持ちは強く持っています。僕自身、“ラブコメ”は初めてで、46歳にして“ラブコメ”をやるなんて思ってもいなかったですし、ヒロインを演じるのも初めて。チャレンジづくしの良い機会をいただいたので、今まで見たことのない井浦新をお見せしたいと思っています。そして、大石静さんのオリジナル脚本なので、その本の世界をさらにもっといい方向に膨らませていけるような作品にしたい。そのためにも現場では新しいものを作るべくワンシーン、ワンシーンを丁寧に撮っていけたらと思います。松坂桃李さんとも初めてご一緒するので、どんな風になるのか楽しみ。そういった意味でも、もしかしたら今が一番ワクワクしているときなのかも知れません。
脚本家・大石静
今回の企画は貴島彩理プロデューサーが「松坂桃李さんとこんなドラマをやりたい」と温めてこられたものでした。そのアイデアを元に私も頭をひねってストーリーを膨らませていきました。映画や単発ドラマと違い、連ドラの醍醐味は、先の展開への期待です。それは事件物であろうとラブストーリーであろうと同じです。「来週どうなる」感は、持てる能力と情熱の限りをつくして考えました。松坂さんについてはーー先日、初めてお目にかかりました。手も足も首も指もスラっと長くて美しく、穏やかで品もよく、うっとりしました。これまで、エリート官僚や誠実な青年、剣の達人や人生に迷ってエロスに溺れて行く男など、あらゆるタイプの男性を演じて来られたと思いますが、今回ほど、地味でドジで気弱で、夢もない人生のビジョンもないというどうしようもない青年の役は、めずらしいのではないでしょうか? どんな風になるのか、期待に胸膨らませて待っています。井浦新さんについてはーー連ドラをご一緒するのはこれで3回目です。今までは口数の少ない物静かな役をやっていただいて、本当にステキでセクシーだったんですが、今回は、わがままでよくしゃべる、感情の起伏の激しい女性が乗り移ってしまうオジサンという、ややこしい役どころです。1人2役という感じで、エネルギーのいる仕事になると思いますが、今までとは違う、ヤンチャでハチャメチャな顔が見られることを、期待しています。女性を演じることで、井浦さんの女性観みたいなものも垣間見えると、奥深いな~と思っています。麻生さんについてはーー脚本家として、才能のある人を描くことに、興味があります。市井に生きる普通の人より、欲望に忠実で生命力も強く、才能ゆえに強烈な自我を持ち、孤独と不安も深く感じているヒロインを、麻生久美子さんがどんな風に演じて下さるか楽しみです。入れ替わってからは、多くの場面を井浦さんが演じることになりますが、時折現れる麻生さんのヒロインに、自信の裏側にある圧巻のはかなさと、寂しさ、愛くるしさを! と思っています。作品についてはーーこの作品はジェンダーフリーな世界観を提示しています。そしてすべての人が抱えている終わる命の宿命や、生まれ出た以上、強く人を愛してこその人生であるという想いを込めて書いています。でもあまり難しいことを考えず、予測不能な展開のラブコメディーを楽しく笑って見ていただけたら、うれしいです。