アンソニー・ホプキンス83歳、オスカー受賞時はベッドで寝ていた
第93回アカデミー賞
第93回アカデミー賞で、史上最高齢で主演男優賞を受賞した映画『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス(83)。受賞が発表された時にはベッドで寝ていたため、何が起きたのか全く気付いていなかったという。
アンソニーの長年のエージェントであるジェレミー・バーバーは「トニー(アンソニーの愛称)は故郷ウェールズにいて、午前4時だったため眠っていて、このニュースを伝えるためにわたしが起こしたんです」とPEOPLE.comにコメント。たたき起こされる形となったアンソニーだが、「彼はとても幸せで感謝していました」と受賞を喜んでいたという。
アンソニー自身も授賞式後にInstagramにビデオメッセージをアップし、全く予想していなかったという受賞に感謝。同部門にノミネートされ、受賞が有力視されていた『マ・レイニーのブラックボトム』の故チャドウィック・ボーズマンさんにも敬意を表していた。
アンソニーは新型コロナウイルスの流行で1年にわたる自主隔離生活の後、2度のワクチン接種をして、最近ようやく故郷ウェールズに戻ってくることができたのだという。バーバーは「彼は83歳ですし、このような困難な年を経て戻ることができて大変ほっとしました。彼は『ファーザー』での役を愛していて、最も誇りに思っています。史上最高齢での主演男優賞受賞は、彼にとってとても意味のあることなんです」とも語っている。
『ファーザー』は、フランスの劇作家フロリアン・ゼレールが自身の戯曲を、アンソニーを主演に迎えて映画化した作品。年老いて認知症を患った主人公の視点で、記憶や時間が混乱していく恐怖をサスペンスのように描いている。日本では5月14日より公開される。
ちなみに、今年のアカデミー賞は賞の発表順を変えて作品賞ではなく主演男優賞をラストに持ってきたものの、故チャドウィック・ボーズマンさんではなく欠席していたアンソニーが番狂わせで受賞したため、誰も舞台に上がることなくスピーチもなしで、授賞式は唐突に終わる形となった。
授賞式を放送した米ABC局のロブ・ミルズは「欠席している人で終わるはずではなかったんです」とチャドウィックさんの故人受賞による感動のラストを想定していたと暗に認め、「危険は承知の上でリスクを取り、それは報われたと思っています。みんながそのことについて話してしますからね」「『作品賞がなぜ先に発表されるのか?』『何が起きているんだ』などとね。怒っている人もいますが、気に入ってくれた人もいます。人々の無関心を避けることが重要だったのです」とVarietyに語っている。(編集部・市川遥)