不安障害とうつに苦しんだ『ミセス・ダウト』子役、ロビン・ウィリアムズさんに救われていた
映画『ミセス・ダウト』(1993)でロビン・ウィリアムズさん演じる主人公の長女役を務めたリサ・ジャクブが、ロビンさんとの思い出を Yahoo Entertainment に語った。
リサがエンタメ業界に入ったのは4歳の時。家族で外出中にスカウトされて喜んでオーディションに行き、それが何を意味するのかをきちんと理解する間もなくどっぷりと業界に浸かることになった。自分が“守られている”と感じる撮影現場もあれば、そうでない現場もあったというが、『ミセス・ダウト』では間違いなく“守られていた”という。それは両親役のロビンさんとサリー・フィールドが子役たちにとても優しかったからだ。
「子役同士もとても親しくなったし、わたしたちは本当の家族のように感じていた。サリーはわたしたちを時に子供として、そして時にプロとして扱うのが上手かったの。ゲームや本といったものを持って来てくれたりしてね。それは、わたしたちは子供で、遊び回っていいんだということを思い出させてくれた。楽しんでもいいんだって。だけど同時に、現場の一員としての責任もきちんと求めてくれた」
そしてロビンさんは、まさにイメージ通りの優しく素晴らしい人で、彼が抱えていた不安障害やうつについても正直に話してくれたという。「わたしは、わたしを苦しめていた不安障害について彼に話すことができた。そして彼は、自身のメンタルヘルスの問題をわたしに話してくれたの」「彼はしつこいくらいに(笑)、ドラッグやアルコールは助けにならないとわたしにちゃんと理解させようとした。それは彼自身が経験したことであり、(ドラッグやアルコールへの)依存は単に全てを一層悪くするだけだから。彼が伝えてくれたのは、14歳の子役が聞くべき本当に素晴らしいメッセージだったと思う。それは多くの子役たちが辿りがちな道だったから」
撮影中、リモートでの教育は認められないとリサが退学を求められた際にも、ロビンさんは「再考してほしい」と学校側に手紙を書いてくれた。結局、学校側の判断は覆らなかったが、リサは「彼は人のために、わざわざそんなことをしてくれる人だった。たとえうまく行かなかったとしても、誰かが立ち上がる必要があり、わたしのためにそうしてくれたのが彼だった」と感謝する。「そうしたことがどれだけわたしにとって大きな意味のあることだったか、彼が知っていたかはわからない。彼が味方でいてくれたことが、どれだけわたしの人生を変えたかということをね」
その後も『インデペンデンス・デイ』や『恋におちたジョージ・ルーカス』などに出演したリサだが「表面的で競争的で、プライバシーがない」といった映画業界の現実に打ちのめされて不安障害とうつが悪化し、20代初めに女優業から引退した。42歳となった現在は作家として活動するほか、不安障害とうつを抱える人々の助けになれるようメンタルウェルネスのワークショップを開催している。「これが、ロビンさんから受けた恩を他の人に送る方法の一つだと感じている」「この道を見つけることができて、とてもありがたく思っている。朝起きた時に、生き生きとしていられるの」と穏やかに語っていた。
ロビンさんは2014年8月11日に63歳で死去。自殺だった。死後、代理人がロビンさんは重度のうつ病を患っていたと発表していた。(編集部・市川遥)