「バイオハザード」レオンは主人公として完璧 ヒットメイカー羽住英一郎も認める魅力
Netflixで7月8日から配信されるオリジナルアニメーション「バイオハザード:インフィニット ダークネス」でタッグを組んだ、羽住英一郎監督とカプコンの小林裕幸プロデューサーが、「バイオハザード」シリーズ初の連続CGドラマ(全4話)で挑んだ試みについて、キャラクターの魅力を交えて語った。
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ホワイトハウスにおける謎のゾンビ発生事件をきっかけに、合衆国エージェントのレオン・S・ケネディ(声:森川智之)と、NGO団体テラセイブ職員のクレア・レッドフィールド(声:甲斐田裕子)が、生物兵器(B.O.W.)をめぐる巨大な陰謀に挑む本作。CGアニメ映画の「バイオハザード」全作に登場しているレオンが、今回も主人公として活躍する。
ファンから愛され続けているレオンの魅力は、『海猿』『MOZU』シリーズで魅力的な主人公を描いてきた羽住監督も認めるところだ。「タフで正義感にあふれた、実に主人公らしい主人公だと思います。皮肉屋だけど、ベラベラとしゃべるわけではない。かといって、カタブツというわけでもない。スーパーマンだけど人間味がある、パーフェクトなキャラクターですよね」
また、小林プロデューサーが「僕自身、レオンが大好きというのもありますが、クリス(・レッドフィールド)のように、S.T.A.R.S.(スターズ)やBSAAといった組織に所属していると、どうしても単独で動くのが難しい。レオンのような合衆国エージェントだと、単独で世界のどこへでもいけるので、描きやすいというのもあります」と語ると、羽住監督は「組織の枠にはまっている人は主人公になりにくいですよね。警察物でも、主人公が警察手帳を投げ捨ててから、ドラマにエンジンがかかる。ただ、そういう意味では今回は逆のアプローチで、より大人っぽいドラマが描かれます」と告白。小林プロデューサーも「これまでとは違った、レオンの一面も描かれます」と自信をのぞかせた。
また、キャラクターと並んで羽住監督が大事にしたのが、映像面でのアプローチ。「実写作品を観ている感覚を味わってもらいたいと思っていました。ホワイトハウスのシーンでも、現実でこの場所にカメラは入れないだろう、という撮り方はしない。実写にCGを使う場合と同じアプローチを全編通した感じです。見たことのない映像が作れるのもCGの魅力ではありますが、何でもできると思ってしまうと、映像に温度差が生まれてしまうので」
小林プロデューサーも羽住監督のもたらした変化を絶賛する。「例えば、ホワイトハウスの大統領室のシーンは引きのカットから入るのですが、ゲームのカットシーンだと(カメラが)寄っていただろうなと思います。一人称視点だと別ですが、ゲームはどうしても全体を見せてプレイすることが多いので、カットシーンでは、引きのカットが少なくなる。僕たちも常に実写のような作品を作ろうしていますが、羽住監督ほど意識できているわけではないので、今回のアプローチはありがたかったし、より実写らしさが増したと思います」
「バイオハザード」ならではのホラー描写にも、実写としてのアプローチが生きている。「カメラがキャラクターより先に暗い場所に入って行かないとか、気づいていない登場人物にゾンビ目線でカメラが近づいていくとか。僕のホラー描写は『サスペリア』のような古い作品から学んだ映像上のルール。お客さんが、かつての映像体験から想像できる恐怖を利用して怖がってもらう」という羽住監督だが、実はホラー映画は苦手だ。「中学生くらいのころは『ゾンビ』とか『サンゲリア』を観るため映画館に行きましたけど、今は観に行っても怖くてすぐ後悔してしまう(笑)。ただ、暗い部分は暗いまま見せるとか、大げさなことをやらず、お客さんが想像できる範囲に抑えた方が怖がってもらえると思うんですよね」
ちなみに、レオンのアクションシーンだけは「なかなか実写ではできないことやっています」という羽住監督だが「一応、小林さんからは『レオンは、トム・クルーズが映画で演じているようなキャラクターのアクションまではやれます』とうかがいました」と笑顔。「何より『バイオハザード』という、世界中に大勢のファンがいるタイトルを手がけることに、挑戦しがいを感じた」という本作は、新機軸でありながら、「バイオハザード」らしいホラーとアクションの融合を堪能できる新作となっている。(編集部・入倉功一)
「バイオハザード:インフィニット ダークネス」はNetflixにて7月8日より全世界独占配信