スーパー戦隊・仮面ライダー…カナダ発SFスプラッター『サイコ・ゴアマン』監督の熱い特撮愛
地球で封印から目覚めた凶悪な宇宙人と宇宙怪人たちによる血みどろのバトルを、エキセントリックな家族ドラマを交えて描くカナダ発のSFスプラッター『サイコ・ゴアマン』(通称:PG)を手掛けたスティーヴン・コスタンスキ監督が、日本の特撮作品をはじめ、本作に込めたオマージュについて語った。
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クレイジーで怖いもの知らずな女子小学生に操られ、“サイコ・ゴアマン”と名付けられた残虐宇宙人が、子供のおもちゃになりながら、宇宙怪人たちと血しぶき飛び散るバトルを繰り広げる本作。ラバースーツのクリーチャーたちが地方都市の片隅で戦う姿は、懐かしの特撮テイストが満載。監督・脚本・製作・編集を務めたコスタンスキは、カナダの映像集団アストロン6のメンバーにして、日本の特撮を敬愛するオタク監督でもあり、本作について、幼少期に親しんだスーパー戦隊や『ゼイラム』(1991)、『人造人間ハカイダー』(1995)からの影響を公言している。
「日本の映画やゲーム、テレビ番組は、僕の映画作りに大きな影響を与えています。サイコ・ゴアマンが銃弾を受けた時や、斬られた時に火花が散る演出は、100%『スーパー戦隊』シリーズへのオマージュ。隙あらば自分の作品に入れている描写なんです」
そんな監督が、本作に影響を与えた一本にあげるのが、「真・仮面 ライダー 序章(プロローグ)」だ。「ここ数年、映画版の『仮面ライダー』を観ているんですが、そのなかにホラーテイスト満載な一本を見つけたんです。一見カラフルで子供向けの作品なのに、敵の脊髄を引き抜いたりする過激な描写があって、『PG』にとても影響を与えました。仮面ライダーの姿がすごく生物的で、『強殖装甲ガイバー』っぽいところも最高でしたね」
コスタンスキ監督にとって「ガイバー」は、自身の礎ともいえる作品。「アニメシリーズも好きだけど、特に好きなのが、スティーブ・ウェン監督が手がけた2作目の映画(『ガイバー/ダークヒーロー』)です。子供のころ、それこそスーパー戦隊みたいな作品かと思って観たら過激な描写が満載で、完璧にトラウマを植え付けられました。そうした、子供のころに夢中になったテイストを『PG』にも盛り込みたかったんです」
特殊メイクアーティストとしてハリウッド大作にも携わるコスタンスキ監督だが、自らのテイストを詰め込んだ『PG』は、当然インディペンデント体制で作り上げた。「製作陣がすごくがんばって出資を募ってくれましたが、こうしたタイプの作品で資金面に満足できることはありません。スケジュールも駆け足だったし、撮影は夜遅くまでかかったし、スペシャルエフェクトも基本的に一人でやっていたから、編集とポストプロダクションだけで8か月もかかりました。撮影中もその後も大変でしたけど、スタジオや放送局に気を使うことなく、妥協せずに自分がやりたいものを作れたことは、すごくよかった。映画作りはいつだってチャレンジですから」
「トクサツをはじめ、日本が生んだ作品をたくさん吸収してきたから、いつか必ず日本に行きたいし、何らかの形で日本の映画人とコラボレーションしたい」と希望を語ったコスタンスキ監督。「それと、常に自分の『ガイバー』を作りたいと思っているので、それを実現してくれる人と出会いたいですね」と創作意欲は止まらないようだ。(編集部・入倉功一)
映画『サイコ・ゴアマン』はシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中