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村上虹郎、安パイを取り続ける人生はあまり意味がない

村上虹郎
村上虹郎 - 撮影:高野広美

 映画『孤狼の血』(2018)の続編となる『孤狼の血 LEVEL2』(公開中)に出演する村上虹郎が、圧倒的にカオスだったという本作の撮影を笑顔で振り返り、俳優として「安パイを取り続ける人生はあまり意味がない」と語った。

村上虹郎の魅力的な瞳…!【フォトギャラリー】

 柚月裕子の同名小説に基づく前作から3年後を描く本作は、白石和彌監督、刑事・日岡役の松坂桃李などが続投。日岡と、出所したばかりの上林組組長・上林(鈴木亮平)が対峙することになる。日岡のスパイで上林の元に潜り込む幸太(通称:チンタ)役を村上が務める。

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 約3年前、東京国際映画祭で白石監督と偶然出会い、自ら話しかけにいった村上。「『孤狼の血』続編撮るんですか? とお聞きしたら、『やるよ、出る?』とおっしゃって。『マジっすか?』と軽い感じでお話しました」と当時のやり取りを振り返る。

 「当時僕は二十歳だったので、『若すぎないですか?』と聞いたんです。1作目に比べて男としての“しわ”みたいなものが足りないのかなと。でも監督が『そういう年齢の人もこの世界にたくさんいたから』とおっしゃってくださって。それで、待っていたら本当に連絡が来たんです! すごくいい役で、めちゃくちゃ嬉しかったです」と破顔する。

 いざ始まった撮影は、「戦地に行っているような感覚でした」と振り返る村上。「(演技で)ぶつかり合いをしているような、たとえはみ出たとしても、方言さえ合っていればどうにか撮っていただける。タイプの違う役者さんたちが集まって成立する、圧倒的にカオスな現場。それが、『孤狼の血』」と高揚感に包まれていた様子。

 1作目に続き容赦ない暴力描写や過激なシーンも多く、クセの強い登場人物たちばかりの本作で、争いに巻き込まれていくチンタを熱演した村上。「めちゃくちゃ楽しい現場でした! 大変だと思う間もなく、あっという間に終わりました。チンタも僕もトンデモない人たちとやり合っていたんだなと終わってから気がづきました」としみじみと答える。

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 演じたチンタのことは、「すごくバイオレンスなシーンも含めて脳裏に刻まれやすいシーンが多い」と紹介。どのシーンも鮮明に焼き付いているというが、「雨降らしのシーンでは、死にそうになりました。コロナ禍なので風邪を引いてはいけないし、ハンパな感じでは挑めない。僕だけじゃなくて皆さんもですが、全身体当たりで撮影に挑んでいる部分があるのに、同時にすごくケアもしないといけない」と加減をせずに全力で挑むことへの苦労があったことを明かす。

村上虹郎
魅力的な村上虹郎 - 撮影:高野広美

 また、鈴木ふんする最凶の男・上林とチンタは、劇中で緊迫感溢れるやり取りを繰り広げるが、「間近で見た上林は、妙な生温かさがあるんです。ただ冷たいとか熱いとかじゃない。怪獣とか怪物はお腹が空いていなかったら、多分獲物を食べないですよね。逆に食べさせて大きくしてから食べるとか、獲物を転がすような、つかの間の温かさです」と肌で感じたからこその感覚があった。

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 全力で駆け抜けた本作への参加を「一つのご褒美的なもの」と語る村上。「楽しかったからこそ、この作品をベースに考えてしまうと役者をやっていくのは大変だな、と感じました。『孤狼の血』というのは、ちょっとした特別感がありました。当たりくじです」とすがすがしい笑顔を見せる。

 撮影を終え、役自体はあまり引きずらなかったというが、「役が広島弁で、広島でオールロケだったので、東京に帰って久々に友だちと会ったら、『お前、状態いいな』と言われ、『自覚しとるわ!』と返しました(笑)」というエピソードも。

 そんな村上は、「チンタは、その世界の全貌、事の重大さをわかっていなくても、とりあえず行ってみちゃえ! となって危険なことに巻き込まれる。そのアホさというのは僕にもあります」と分析。「ツワモノがたくさんいるところに無防備で行ってしまうところがあるんです。もう少し用意とか準備、助言を聞く相手とかが必要かもしれない」と笑い、「作品ではなく自分にとって安パイを取り続ける人生はあまり意味がないと思ってしまうんです。一つひとつの選択において、危険な香りがする方が魅力的です」と語る。

 現在、宮藤官九郎が手掛ける上演中の舞台「大パルコ人4 マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』」でコメディーに挑み、2021年度後期の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」ではこれまでの作品とは違うほっこりとした世界観に挑戦。さまざまな作品で唯一無二の存在感を放つ村上は、「数年後どのような役をやっているのか想像がつかない」と新たな道に挑み続けている。(編集部・梅山富美子)

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