山口・萩ツインシネマがご当地カレーでチャレンジ!
山口・萩市内唯一の映画館「萩ツインシネマ」がオリジナルレトルトカレーを作った。萩沖の雑魚とくず玉ねぎを使ったその名も「Zacco&Bussカレー」(通称:ザコブスカレー)で、売り上げの一部は劇場支援に充てる。コロナ禍で全国のミニシアターは苦境に立たされているが、柴田寿美子支配人は「本来は捨てられてしまう運命だけど良いダシが出る雑魚のごとく、しぶとく営業を続けていきたい」と意気込んでいる。
少しでも劇場の収益につなげようとミニシアターがTシャツをはじめとするオリジナルグッズの販売を行うところが増えているが、レトルトカレーとは珍しい。農業・高校の非常勤教師・居酒屋のアルバイト、そして映画館支配人と八面六臂の活躍を見せる柴田支配人がカレーを作ろうと思ったのは、単純だ。
「すごい魚と出会ったから」(柴田支配人)
日本海に面した萩は漁業が盛んで、中でもアマダイなどの高級魚の水揚げは全国上位を誇る。そんなある日、柴田支配人は知人からタダ同然で大量の雑魚をもらったという。しかし、地元あるあるで、これがただの雑魚ではなかった。高級魚として知られるクロムツで、煮込んだら抜群のダシが獲れた。これを何かに生かせないか? と思考をめぐらせた結果、思いついたのがカレー。
柴田支配人自ら魚をさばいてダシを取り、チキンで味に深みを出した。そこに破棄同然の玉ねぎをじっくり炒めて、クミン、コリアンダーなど8種類の香辛料を加えたら滋味深い一品が完成した。さらに小麦粉不使用の低アレルゲンで、体にもいいという。
「ただし、最終的な商品化する味に定まるまで、1年半試行錯誤しました」(柴田支配人)
というのも、基本的に雑魚は、地元では捨てられてしまう運命。毎回、クロムツの雑魚と出会うとは限らない。そこで今回の販売品にあたってはクロムツに加え、同じく地元の高級魚である「金太郎」と呼ばれているヒメジ、さらにトビウオとイサキも加わった。
「そんなわけで今後も味は、手に入る雑魚次第ということで。永遠に味が定まらないカレーです」(柴田支配人)
8月20日~22日に開催した「2021 HAGI 萩 ibasho映画祭」から、880円(税込)で販売をはじめた。早速味わったスタッフの評価は「人によって好みがあるからね。まぁ、食べられます」とか、「ウチの娘が小麦粉を入れたらおいしくなったと言っていた」など、誰一人として素直に「おいしい」と言わないところが余計に興味を注がれる。進化し続けるであろうザコブスカレーが、いずれ萩の名物となることを期待したい。(取材・文:中山治美)
※「Zacco&Bussカレー」は、萩ツインシネマで販売。地方発送については劇場に電話かメールにてお問い合わせください。
https://hagi-twincinema.org/