石原さとみ、初のシングルマザー役で見せたプロ意識『そして、バトンは渡された』現場レポート
永野芽郁、田中圭、石原さとみが共演する映画『そして、バトンは渡された』が10月29日より全国公開。自身初のシングルマザー役に挑んだ石原の撮影裏の様子が明かされた。
石原さとみ×稲垣来泉が親子役で絆を深める『そして、バトンは渡された』メイキング&オフショット【写真】
本作は、瀬尾まいこの本屋大賞受賞作を原作に、血のつながらない親のもとで育った女性と、娘を残して失踪した女性の運命が交錯するさまを描く物語。血のつながらない親たちをたらい回しにさせられた森宮優子(永野)は義父・森宮さん(田中)と二人暮らし。将来のことや恋、友人たちとの関係に悩みながらも、卒業式で弾く「旅立ちの日に」のピアノの特訓に打ち込んでいた。一方、夫を何度も変えて自由奔放に生きる梨花(石原)は、泣き虫な娘のみぃたん(稲垣来泉)に愛情を注いでいたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。
今回、水戸さん(大森南朋)と結婚した梨花(石原)が、娘となったみぃたんのの誕生日を盛大に祝うシーンの撮影現場レポートが公開。劇中では二つの家族の物語が描かれ、それぞれのキャラクターを掘り下げて作り上げられた四つの家が登場する。石原が参加したこの日の撮影現場は、一段と華やかで賑やかだった。
以前は生活感あふれる地味だった水戸家は、梨花がやって来たことでみぃたんの部屋をカラフルで可愛いインテリアでコーディネイトし、壁紙から小さな雑貨まで梨花の美意識が炸裂した見違えるほどお洒落な部屋に変わる。その部屋のカラフルさ以上に華やかなのが、梨花の衣装とヘアメイク。梨花のファッションセンスは抜群で、誕生会のシーンではオーガンジー素材の花柄のワンピースに真っ赤な口紅、みぃたんの友だちが「かっこいいね」と眩しがるようなコーディネイトを披露している。普段着のように着こなしてしまうのは、ファッションアイコンとして活躍する石原だからこそ。
華やかな衣装に身を包み、初のシングルマザー役に挑む石原だが、みぃたん役の稲垣は石原に懐き、カメラが回っていないときも石原のことを「ママ!」と呼ぶほどに仲を深めたという。待ち時間にはベッドの上でごろごろするなど、母娘の楽しそうな笑い声が響く。本当の親子のような関係性は撮影前から丁寧に築き上げてきた賜物で、クランクイン前の顔合わせでは前田監督が石原と稲垣が二人きりになる時間を用意したという。
当時の様子を石原はこう振り返る。「『何をすればいいんだろう』とハラハラしたのですが、くるみちゃんが『さとみさん、缶バッジ作りましょう』と言ってくれて、一緒に缶バッジ作りをしました。お互いの顔を書きあってプレゼントしあったり、縄跳びしたりフラフープしたりボール投げ合いっこしたり、実際に一緒に身体を動かして、コミュニケーションを取って、ハグして、一時間くらいですけどすごく楽しくて、手元に残る彼女の存在ができました。みぃたんのことを思っている時間の蓄積がみぃたんを想う気持ちと比例したらいいなと思い、その時に撮った2ショットをその日から携帯の待ち受け画面にしたら見事に気持ちが徐々に高まっていきました」
そんな石原が演じる梨花はシングルマザーで自由奔放、そして魔性の女という、さまざまな顔を持つ。水戸さんに欲しいものを聞かれた際には「生命保険に入っといてくれないかな?」とさらりと返す反面、娘を思う母としての顔も見せる梨花。石原は「監督は演出でも微妙なニュアンスを細かく指示してくださいました。監督の中での梨花の幅、深さ、高さがあるんだろうと思いますが、そこをちゃんと整えてくださったのがありがたかったです。私はけっこう指示されるのが好きなタイプでどんな感情のシーンでもいくらでもやりたいので、監督が諦めずに何度も何度も指導してくださったのはすごく嬉しかったですし、信頼できました」と明かしている。(編集部・大内啓輔)