『空白』16歳の天才・伊東蒼が快進撃 初の朝ドラ「おかえりモネ」も話題
現在公開中の映画『空白』で、主演の古田新太をはじめ松坂桃李らベテラン勢の中で燦然と輝く16歳の伊東蒼。朝ドラ初出演となる「おかえりモネ」でも注目を浴び、近年目覚ましい成長を見せる彼女の魅力に迫ってみた。
伊東が所属するのは、門脇麦、安藤サクラ、東出昌大らを輩出したユマニテ。子役時代に『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)で第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。2017年公開の『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』では映画初主演を務め、12歳の若さで毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞するなど、10代前半から「天才」と称されている。
『空白』で演じているのは、主人公の漁師・添田(古田)の娘・花音。スーパーで万引きの疑いをかけられ追いかけられた末に車にはねられて死亡してしまう薄幸な中学生だ。内気で控えめな性格で、粗暴な父親とは会話が成立せず、家を出て今は新たな家庭を持つ母(田畑智子)と密かに交流を続けている。ある日突然一人娘を亡くし打ちのめされた添田は娘の無実を証明すべく、スーパーの店長(松坂)や娘が通う学校の教師(趣里)らに迫り、暴走をエスカレートさせていく。彼の復讐、贖罪ともとれる物語だが、花音が日々何を見て何を感じていたのか、誰もが在りし日の姿に思いを巡らせるはずだ。
伊東が本作に出演したのは、2020年1月に行われたオーディションを経てのこと。花音は命を落とし画面に映らなくなってからもラストシーンに至るまで、観客に絶えず存在を感じさせる難役だ。吉田恵輔監督は伊東の起用については即決だったと言い、経緯を以下のように話している。
「(オーディションで)添田に携帯電話を取り上げられるシーンを演じてもらったんだけど、その時点で既にどう撮ろうかなと考え始めたぐらい、引き込まれるものがあった。ルックもフォトジェニックだし、子役時代から主演を任されていたような子だから、お芝居はめちゃくちゃ上手いんです」
連続テレビ小説「おかえりモネ」では4日放送のエピソードから登場。演じるのは、故郷・気仙沼に帰郷し、新たな仕事を始めた主人公・百音(清原果耶)が出会う中学生のあかり。コミュニティFMで気象情報を伝える仕事を始めた百音の職場にふと現れたあかりは、授業時間にもかかわらず帰ろうとしない。百音の母・亜哉子(鈴木京香)とある縁があるというが、果たして彼女は何者なのか……?
現在、家庭に事情を抱える中学生を演じるドラマ「それでも愛を誓いますか?」 が放送中。『岬の兄妹』の片山慎三監督の新作映画『さがす』(2022年公開)では、姿を消した主人公(佐藤二朗)の娘役に抜擢された。(編集部・石井百合子)