「カムカムエヴリバディ」松村北斗のまっすぐな芝居にCP&演出が感銘!
2021年度後期放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の制作統括を務める堀之内礼二郎チーフ・プロデューサー、そして演出の安達もじりが報道陣の取材会に出席し、11月11日放送回に、雉真稔(きじま・みのる)を演じる松村北斗(SixTONES)のまっすぐな芝居に感銘を受けたことを明かした。
上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ら、朝ドラ史上初となる3人のヒロインのリレー出演が注目を浴びる本作は、昭和・平成・令和の時代にラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子の物語を描いたファミリーストーリー。脚本を「ちりとてちん」の藤本有紀が書き下ろす。
現在放送中の本作は、近年放送された朝ドラと比べても、とても軽やかで、明るい雰囲気の内容となっている。その点に「藤本さん自身、関西のご出身ということもあって、笑いの要素をものすごく大事にしているんです」と語った堀之内プロデューサーは、本作が描き出すトーンについて「人間は、笑いがあるから、感動的な場面がより泣けるんだと思っていて。藤本さんの脚本はその緩急の付け方がものすごく絶妙。だから本当につらいシーンであっても、そこに笑いの要素や、温かいやりとりが入る。そこが藤本さんのうまさじゃないかと思います」と分析する。
第1週、第2週は安子のラブストーリーともいうべき内容となっている。その点について、「今回はなにかを成し遂げたり、夢をかなえたりするような偉人の話ではなく、そこの時代で一生懸命生きていた普通の人たちのファミリーストーリー。ドラマの中で感情を揺さぶるものとして、恋愛の話は多くの方が共感できるものですし、興味を持って観てもらえるだろうと。今後、ヒロインが深津さん、川栄さんになっても、恋する思いはドラマを動かす大きな原動力になっていきます」と堀之内プロデューサーは説明する。
ヒロイン安子の恋の相手役として登場するのが、松村演じる大学生・稔だ。その松村について「本当に素晴らしいですよね」と切り出した堀之内プロデューサーも、「松村さんご本人が持っている実直な部分と、ある種サムライ的というか。役に対して真摯(しんし)に向き合う姿勢、生きる姿勢がすごく稔と似ているんじゃないかなと思います」と評する。
ただし演出の安達によると、当初、松村本人は、自身が知らない時代に生きる青年であり、かつ岡山弁を話す稔をどう演じたらいいのか、悩んでいたこともあった。だが、学生服に身を包んだ松村の姿を見た瞬間に安達は「そこに稔がいた!」と感じたといい、そして「実際に演じていただいたらもうすばらしいじゃないですか」と松村の芝居に全幅の信頼を寄せる。
そんな松村の芝居について「特に2週目木曜日のお芝居は圧巻ですよね」と語った堀之内プロデューサーは、「あそこまで正面切って交際したいと言う姿は本当に稔らしいなと思いました」とそのまっすぐな芝居に感心した様子。そして演出の安達も、「どんな感じなのかなと思って。ドキドキしながらセットでリハーサルをやったんですが、本当にあのまま。奇をてらうことなく、ストレートに表現してくださったのが良かった」と絶賛し、「『ああ、すてきな人連れてきたやん』というような親心で見てしまいました」と松村の芝居に心動かされた。
実際に完成した映像を藤本に観せることになり、演出の安達は「完成した映像をドキドキしながら持っていったんですけど、ご覧いただいて非常に喜んでいただきました。そこはテレビのある部屋だったんですけど、『ちょっとかけていいですか』とDVDを延々とループしながら観てくださった」と振り返り、「もちろん自分のイメージと違う箇所もあったので、そういうところは素直に言っていただきましたが、でも基本的にはとてもいい仕上がりになっているという手応えを感じていただいています」と自信をのぞかせていた。(取材・文:壬生智裕)