「カムカムエヴリバディ」上白石萌音、松村北斗演じる稔は「憧れのお兄さん」
2021年度後期放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(11月1日スタート)のヒロインを務める女優の上白石萌音が報道陣の取材会に出席し、放送を間近に控えた現在の心境を語った。
上白石、深津絵里、川栄李奈ら、朝ドラ史上初となる3人のヒロインのリレー出演が注目を浴びる本作は、昭和・平成・令和の時代にラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子の物語を描いたファミリーストーリー。脚本を「ちりとてちん」の藤本有紀が書き下ろす。
第1週の映像を鑑賞して「ささやかで温かくて優しくて、なんて愛おしいドラマだろうと思いました」と語る上白石は、「自分の芝居は冷静に見られませんでしたが、全体を通して、藤本さんの脚本を読んだ時に感じた温かみがそのままそこにあるような気がしました。キャストの皆の細かい表情ひとつひとつや、おいしそうな和菓子、凜(りん)と立つラジオ、歌うような英語、全てに心が動きました」と手応えを感じている様子。
昭和という時代を生きた安子について、「わたしは昭和っぽい、と言われることも多くて。なので、一生懸命その時代になじむようにしようとか、そういうことはあまり意識はしなかったです」ということだが、それでも現代とのギャップは感じた。「今とは社会の雰囲気や、年齢の捉えられ方は全然違うなと思いました。安子は16歳で、見合いにちょうどいい頃合いだと言われたりするので、今とのギャップや、そうした時代背景は意識しました」
第1週での上白石の初登場シーンでは、14歳の安子を演じる。「役をつかむのが結構大変で。安子は本当にピュアですれていなくて。(今どきの14歳より)もっともっと幼いような印象もあったりしつつ、でもすごく大人びているし。不思議な子だな」という印象を受けた。「とにかく声の出し方とか、表情のつくり方は監督と相談しながらやりましたけど、やっぱり難しかったので、カットがかかると監督が走ってきて、(耳打ちするように)『安子ちゃんは14歳です』って。だから(頭の中で)14歳、14歳と思いながらやってましたね。でも衣装や髪型は年齢に応じてどんどん変わっていったので、そこからムードをもらって演じているようなところはありました」と笑顔で振り返った。
劇中でヒロインの安子は、人気アイドルグループ・SixTONESの松村北斗が演じる大学生・雉真稔(きじま・みのる)に影響を受けて、英語に興味を持つこととなる。「安子にとって稔さんは、本当に憧れの年上のお兄さん。でも第1週では、安子にとってそれが恋愛感情なのか、憧れなのか。そういうところがあまりわからないというのがあるのかな、と想像していました」と分析する上白石は、「だから初めてそういうほんのりした淡い夢みたいなものを持った時の気持ちとか、うぶさみたいなところを監督とも相談しながらやりました」と振り返る。
そんな安子と稔について「2人はすごく純粋ですし、英語という、同じ興味を通して話ができるというのは、なんだかアカデミックな仲」と感じたといい、「その(英語の)レベルに差はありますけど、そういうところの品の良さとか、ある意味での賢さみたいなところも、その雰囲気からにじみ出るといいかなと思って。でもそういう雰囲気はすべて稔さんを演じた松村さんがお持ちだったので、私はそこに純粋に憧れて、ついていったという感じです」と明かす。
また松村とは岡山弁でのやり取りが苦労したとのことで、「1回テストをやったら方言指導の先生が飛んできて。長めに指導していただくということが結構あって。そこで一緒に苦労したことは、すごく絆が深まるきっかけだったかなって思いますね。でも、稔さんが話す岡山弁がわたしはとっても好きでした。なんか端正で、人柄をそのまま表しているような感じがして。なのでお互いに苦労しましたけど、頑張って良かったです」と晴れやかな顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)