『千と千尋』舞台化、宮崎駿監督は即快諾 鈴木P明かす
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが9日、都内で行われた舞台「千と千尋の神隠し」製作発表会見に翻案・演出を務めるジョン・ケアードらと出席し、本作のオファーを受けたときの宮崎駿監督(「崎」は「たつさき」)の意外な反応を明かした。
本作は、2001年の公開以降、爆発的な大ヒットを記録し、2003年には米国アカデミー賞長編アニメ映画賞に輝いた宮崎駿監督によるアニメーション映画『千と千尋の神隠し』の初の舞台化作品。鈴木は、「千尋は僕の小さな10歳のガールフレンドをモデルにして作ったんですよ。あれから20年……感慨深いですね」としみじみ。
宮崎監督とは舞台化に向け、「嫌になるくらい(話を)しました」と言って苦笑する鈴木だが、オファーを受けたときはスムーズだったようで、「彼が最初に言ったのは『いいよ』の一言だった。なぜか(と言うと)、『もう俺の手は離れたから。あんなに多くの人に支持されたんだから、もう俺のものじゃないです。皆さんのもの』という感じでした」と打ち明けた。また、ケアードが「宮崎と意気投合していた」と明かすと、「間違いなく素晴らしい舞台を作ってくれると思います」と大きな期待を寄せた。
そのケアードは、「『千と千尋の神隠し』は演劇的な作品なので、絶対に舞台になるとつねづね思っていた」と話すが、宮崎監督と対面した際は快諾されるとは思っていなかったのだとか。そのため、「何分かお話ししたら、『やっていいよ』と言われ、直後に『どうやってやるの?』と聞かれたので、急に『やらなきゃいけないんだ』とパニックに陥りました」と当時を気恥ずかしそうに振り返った。
その後、宮崎作品を全て観たというケアードは「知的で好奇心にあふれ、環境や言葉の問題、女性と男性、あるいは人間と動物の平等について語られていて素晴らしい」と舌を巻き、宮崎監督についても「80歳の今でも、子供のように考え、子供の心理に入り込むことができるのは天才的。チャールズ・ディケンズ、アンデルセン、ルイス・キャロルと並ぶ素晴らしい才能を持った物語の語り部で、歴史に名を残す方だと思います」と賛辞を送った。
そして、「敏夫さんが『いいことをやって』、駿さんが『楽しんで』と言ってくれました。今、映画のキャラクターたちよりもカラフルなキャストたちと一緒にいると、いいことができるかはまだわかりませんが、楽しくなることは保証できます」と自信を見せていた。
会見には、千尋役の橋本環奈/上白石萌音、ハク役の醍醐虎汰朗/三浦宏規、カオナシ役の菅原小春/辻本知彦(「辻」のシンニョウは点1つ)、リン/千尋の母役の咲妃みゆ/妃海風、釜爺役の田口トモロヲ/橋本さとし、湯婆婆/銭婆役の夏木マリ/朴路美(「路」は「王へんに路」)、兄役/千尋の父役の大澄賢也、今井麻緒子(共同翻案・演出補佐)、池田篤郎(東宝常務執行役員演劇担当)も出席した。舞台「千と千尋の神隠し」は2022年2月・3月の東京・帝国劇場を皮切りに、4月大阪、5月福岡、6月札幌、6月・7月名古屋で上演。(錦怜那)