山田裕貴、志村けんさんを全身全霊で演じようとした日々「目がバキバキでした」
俳優の山田裕貴が14日、港区元赤坂の明治記念館で行われたドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」取材会に勝地涼、加治将樹、松本岳、遠藤憲一らと共に出席し、日本を代表するコメディアンである志村けんさんを演じるために全身全霊で過ごした日々を語った。
ザ・ドリフターズを演じる山田裕貴、勝地涼、遠藤憲一ら!【写真】
昨年3月に急逝した志村さんの半生を描いた本作は、ザ・ドリフターズに携わるようになる付き人時代から始まり、メンバーの一員となった時代の想像を絶するような過酷なスケジュールや、人気の裏に隠された挫折と苦悩、葛藤を描くドラマ。日本を代表するコメディアンである志村さんを演じるにあたり、「どれだけみなさんの頭のなかにある、心のなかにある志村さんにどれだけ近づけるかをずっと考えながら、しゃべり方や、コントのテンポや間など、いろんなところに気を配りました」と語った山田は、「放送の日、ドリフがよみがえったんじゃないかと思ってもらえるようなドラマになれば」と意気込む。
そして加藤茶役の勝地も「加藤さんは小さいころから大好きな方ですし、その方を自分がやるということに驚きがありましたが、やるからには役者としてなにができるか。加藤さんのものまねではなく、生き方を伝えられるようなお芝居ができたら」と続けた。
そしていかりや長介さん役の遠藤も「監督の福田(雄一)さんからもなるべく(本人に)寄せてくださいと言われた」と切り出すと、「もっと自由自在な監督だと思っていたんで、『あまりきっちりやるのは得意じゃないんですが』と言ったんですが、『僕自身も苦手ですが、今回は台本を覚えてください』と。今回はきっちり(いかりやさんに)寄せていく方向なんだなと思いました」と福田監督の演出プランを明かすも、「顔はどっちかというと最初から寄っちゃっているんで、つくらずにいきましたけど」と付け加え、会場を沸かせた。
今回のドラマでは、名作と言われる数々のコントシーンをできる限り再現しているという。「もちろん本物にはなれないですけど、皆さんの記憶がよみがえるようなものをお届けできるのではないか」と語る山田は、「志村さんや加藤さんがアドリブでやられていたコントなども、台本ではそのまま文字起こしをされていて。アドリブに見せつつ、でも僕らはお芝居をしている、というハードルの高いことをやらないといけなくて。それはものすごく難しいことでしたが、本当に勝地さんには助けていただいて。撮影の合間も、セリフをどっちかが言ったら、自然とそれにセリフを合わせる、というような日々でした」と述懐した。
一方の勝地も、山田の熱量に呼応するように、山田と一緒にコントの練習をしていたという。「衣装合わせが終わって楽屋に戻ろうとした時、(山田が)コントの練習をしている声が廊下まで響き渡っていて。僕はその熱量に引き寄せられるように。(山田とは)はじめましてだったんですけど、ノックもしないで楽屋のドアをガチャッと開けてしまったんです。そこで加藤茶さんみたいに『やってるね。(一緒に練習を)やる?』と言って。そこから一緒に練習をするようになりました」と明かした。
本作には、志村さんと共演経験のあるダチョウ倶楽部の肥後克広もキャストとして出演。その時のことを振り返った山田は、「とあるコントのシーンで、僕はどういう表情にしよう、どういう動きにしよう、どういうテンポにしようかと、いろいろと考えながら、どうやったら笑えるか、どうやったら近づけるかということを考えながら。目をバキバキにさせながらカメラの裏をウロウロ歩いていた」という。そんな山田の姿を見て、肥後がスタッフを介して、「ああやってやってたよ、志村さんも。本当に寡黙に。カメラの後ろをウロウロしながら。だから安心していいんだよ」と山田にメッセージを残したそうだ。
山田自身、「本当にお笑いが大好きで。芸人さんをすごくリスペクトしている」そうで、「撮影をするなかで家に帰って缶ビールを飲みながら、こうやってお笑いのことを考えていたから志村さんもお酒が好きだったのかな、とか。お笑いについてものすごくストイックに、なにが面白いのかということを考え続けて生きていたのかな、とかいうことを考えて。毎日、ドリフのDVDを流して。それ以外の映像は観ない日々でしたけど、それくらいちょっとでもなれればいいなと集中して。だから肥後さんの言葉をいただいてちょっと安心しました」としみじみと振り返った。(取材・文:壬生智裕)
ドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」は12月27日よる9時よりフジテレビ系にて放送