『マトリックス』新章は「原点に回帰」「類を見ない野心作」押井守・小島秀夫ら感想コメント
映画『マトリックス』シリーズ新章『マトリックス レザレクションズ』の公開を前に、同作を鑑賞した映画監督の押井守や、ゲームクリエイターの小島秀夫監督らが感想コメントを寄せた。
ネオ、トリニティー救出へ!『マトリックス レザレクションズ』本予告編
『マトリックス』は、自分の生きる世界が機械の作り出した仮想世界=マトリックスだと知った主人公ネオ(キアヌ・リーヴス)が、人類の救世主として戦いに挑むSFアクション。シリーズを生んだラナ・ウォシャウスキー監督がメガホンを取った4作目『レザレクションズ』では、再び覚醒したネオが、トリニティーを救うために新たな戦いに身を投じる。
『マトリックス』に影響を与えたアニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)を手掛けた押井監督は、『レザレクションズ』について「『マトリックス』の原点に回帰したなと思いました。ウォシャウスキーの目指している快感原則は1作目に近い。撮影のスタイルも変わっていなくて、そこもビックリした」とコメントしている。
また、「本作は続編ではない。リメイクでもプリクェールでもない」という小島監督は「現実と虚構(マトリックス)を行き来するSF映画の金字塔『マトリックス』の物語を起点に、レザレクションズは現実とマトリックス世界、さらには『マトリックス』三部作をもメタ的なレイヤーで繋げるという、他に類を見ない野心作となった」と新作を評している。
さらに、『マトリックス』の世界をベースに描くオムニバスアニメ『アニマトリックス』(2003)を手掛けたアニメーション作家たちも、新章にコメント。小池健(「ワールド・レコード」監督)は「意表をついた展開の仕掛けに驚くばかり。前シリーズのデジャヴを見ているのか? オマージュ? リンク? 導入部のギミックから目が離せなくなるワクワク感。再び赤いカプセルでネオと共に目覚めたい方々必見です。是非!」と推薦。森本晃司(「ビヨンド」監督)も「全世界がこの仮想現実の虜になりうるワクワクがつまっていた! ネオとトリニティーの存在はいかなる次元においても”世界”の創生を感じさせてくれる救世主である!」と称賛している。クリエイター陣のコメント全文は以下の通り。(編集部・入倉功一)
映画『マトリックス レザレクションズ』は12月17日より全国公開
押井守(映画監督)
『マトリックス』の原点に回帰したなと思いました。
ウォシャウスキーの目指している快感原則は1作目に近い。
撮影のスタイルも変わっていなくて、そこもビックリした。
あのふたりじゃなければいけない理由もきちんと描かれていた。
キアヌとキャリーのどちらが欠けてもだめ。
『マトリックス』をキアヌとキャリーでまた作ってほしいと思っていたお客さんにとっては、間違いなく「これが見たかったんだ」という作品
小島秀夫(ゲームクリエイター)
本作は続編ではない。リメイクでもプリクェールでもない。現実と虚構(マトリックス)を行き来するSF映画の金字塔『マトリックス』の物語を起点に、レザレクションズは現実とマトリックス世界、さらには『マトリックス』三部作をもメタ的なレイヤーで繋げるという、他に類を見ない野心作となった。赤のカプセルか? 青のカプセルか? 最後に救世主がくだす選択に、ラナ監督が“現在の”マトリックスに投影した真意をみる
小池健(「LUPIN THE IIIRD」シリーズ」、『REDLINE』他監督)
前3部作によりアップデートした人類の昇天した世界を期待して観たレザレクションズ。意表をついた展開の仕掛けに驚くばかり。
前シリーズのデジャヴを見ているのか? オマージュ? リンク? 導入部のギミックから目が離せなくなるワクワク感。
再び赤いカプセルでネオと共に目覚めたい方々必見です。是非!
伊藤智彦(アニメーション監督)
20年の歳月を経てThe Oneことネオが帰って来た! かつて最先端の映像を見せてくれたMATRIXだが、世の中がこれだけ進むなか、この世界もアップデートされないわけもなく……あとは自分の目で真実を確かめろ!
前田真宏(アニメーション監督、アニメーター)
ジェファーソン・エアプレイン!!
かあーーーっこいいいいいい!!!
西海岸のビートな感じでちょっとオトナのマトリックスかも!!
よりサイケでディックで内省的で哲学かも!!
なーんて思っていたら「いい意味で」裏切られました。
ちゃーんとマトリックスです。
クールなアクションもたらふく食べさせてくれます。
でも、、、、、、
ちゃーんと進化しているのです。
大人の余裕、ってやつだろうか。
ユーモアさえ感じさせながら。
ラナさん、いい仕事したなあ!
救世主が、救済者が飛ぶのではない。
あなたが、私が、一人ひとりの秘めたる心が飛翔する時が来る!!
本当の気持ちを、自由を、孤独さえも存分に楽しんで。
森本晃司(『アニマトリックス』 ビヨンド監督)
かつて「自分だったらこういう空間を描きたい」という想いがあって実現したのがアニマトリックス”Beyond”の世界だったが、あれから約20年の時を超えてマトリックスの世界はどうなったのか?
現実世界ではマトリックスのような素晴らしいSFエンターテイメントが登場したことによって、テクノロジーや仮想現実の進化が後押しされ、加速したのではないかとすら思えてならない。
そんなマスターピースの作品世界に再びログインすることが叶った2021年、全世界がこの仮想現実の虜になりうるワクワクがつまっていた! ネオとトリニティーの存在はいかなる次元においても”世界”の創生を感じさせてくれる救世主である!