佐藤二朗、舞台あいさつで感涙…監督に「お前も泣け、少しは」
俳優の佐藤二朗が22日、都内で行われた映画『さがす』の公開記念舞台あいさつに登場。伊東蒼、片山慎三監督とともに登壇し、いつものように“おふざけモード”でトークをする佐藤だが、キャスト・監督にあてて書いた手紙を読み上げている最中に感極まり、思わず涙ぐむ姿があった。
本作は、映画『岬の兄妹』で注目を浴びた片山慎三が監督・脚本を手掛けた長編第2作。指名手配中の連続殺人犯・山内照巳(清水尋也)を目撃したと告げた翌朝に姿を消した父親・原田智(佐藤)と、一人残された中学生の娘・楓(伊東)の姿を描く。
佐藤は「片山慎三さんとは、20年前に彼が21歳の時に別の現場(ドラマ『アイノウタ』)で会って、その時は制作の使いっぱしりで、右も左もわからない、人と言うよりは猿みたいな感じだったやつ」とぶっちゃけるが、「『岬の兄妹』を経て、(本作でも)繊細に演出していたし、感性も素晴らしく、こんなに刺激をたくさん受けて学ぶことになるとは思いませんでした。とにかく、猿だったのにすごい!」と賛辞の言葉を送る。
伊東については「怪物」と、ずば抜けた演技力を称賛。伊東は「撮影中にいつもパズルゲームをされていた」と佐藤の撮影現場での様子を暴露しながらも、進路について話を聞いてくれたり、役の感情が抜けない時に声をかけてくれたりしたことを振り返り、「お父さんみたいでした」と感謝した。
この日はサプライズがあり、本作出演にあたり、片山監督が佐藤に手紙でラブコールを送ったことから、佐藤は「手紙をもらって始まったので、手紙で締めくくろうということです」と共演の伊東、清水、森田望智に向けた手紙を読み上げた。奇しくも3人がNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に出演していたことから、随所に朝ドラの話を挟んでは笑わせつつ、伊東には「小さな小さな怪物のこれからを本当に楽しみにしています」、清水には「弁当をむさぼりつくように食べるシーンが印象に残っています。食べるシーンは役者の力量とセンスが試されると思うからです」、森田には「若手にして、もはや女性版ロバート・デ・ニーロの風格」と称賛した。
そして、片山監督に対しては「間違いないのは、映画『さがす』がたくさんの人の胸に響くこと、あなたがこれからの日本映画を背負うことです」と断言すると涙ぐみ、「20年前のあの若造に僕はこう言いたい。そこのうろちょろしてる君、君と出会ったことは20年後に俺の誇りになるんだぞ。片山、ありがとう」と声を詰まらせながら思いを伝えた。思わぬ涙に、佐藤は「ごめんなさい。自分で書いて自分で感極まるって最悪……。お前も泣け、少しは」と片山監督にツッコみ、照れくさそうに笑っていた。(錦怜那)