『ドライブ・マイ・カー』役者の存在こそ本質 濱口監督、日本映画大賞&監督賞に感謝【毎日映画コンクール】
第76回毎日映画コンクールの表彰式が15日、めぐろパーシモンホールで開催され、『ドライブ・マイ・カー』に日本映画大賞と監督賞が贈られた。メガホンをとった濱口竜介監督は、第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の審査員を務めているため欠席となったが、会場では受賞への感謝の気持ちを込めた手紙が代読された。
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村上春樹の短編小説を、西島秀俊を主演に迎えて映画化した『ドライブ・マイ・カー』。第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど世界的な評価を得ており、3月27日(日本時間28日)に発表される第94回アカデミー賞では、日本映画初となる作品賞をはじめ、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートされている。
この日は濱口監督の代理として、山本晃久プロデューサー、配給会社ビターズ・エンドの定井勇二エグゼクティブプロデューサーが出席。山本プロデューサーによって、濱口監督から預かってきた手紙が代読された。その冒頭で濱口監督は「この場を借りて一番感謝したいのは、カメラの前に立ってくれた役者さんです」とつづると「村上春樹さんに映画化許諾のお願いの手紙を書いたとき『村上さんにとって一つ一つの文字に当たるのもが、わたしにとっての役者なんです』という趣旨のことを申し上げました。それはつまり、わたしの映画にとって彼らの存在が本質であるということなんです」とあくまで作品の評価は俳優たちの仕事のおかげであることを強調する。
さらに手紙は、村上作品の世界観を生身の身体で表現することは、非常に困難な作業であることを伝え「そんな仕事をやり遂げてくれた」と西島秀俊、三浦透子、岡田将生ら俳優陣の功績をたたえた。
また山本プロデューサーは、本作がアカデミー賞に4部門でノミネートされたことについて、濱口監督が「こうしたことを喜んでくださる方々がいることがうれしい」とメッセージのやり取りで感想を述べていたことを明かす。この世界的な評価を背景に、日本の劇場でも作品を鑑賞する人が増えており、定井プロデューサーは「インディペンデント映画は、こうした賞をいただけることで、多くのお客さまに作品を届けられるんです」と映画賞の意義と受賞への感謝を述べていた。(磯部正和)