アカデミー賞7部門ノミネート、ケネス・ブラナー監督『ベルファスト』予告編
3月に授賞式が行われる第94回アカデミー賞で、作品賞を含む7部門でノミネートされた、ケネス・ブラナー監督作『ベルファスト』の予告編とビジュアルが公開された。
本作は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで多くの舞台に立った名優にして、『シンデレラ』など映画監督としても活躍するブラナー監督が、製作・監督・脚本を務め、自身の幼少期を投影した自伝的作品。幼少期をすごした北アイルランド・ベルファストを舞台に、9歳の少年バディの目線を通して、時代に翻弄され様変わりする故郷の厳しい現実と、家族とすごした愛と笑顔に満ちた日々を、力強いモノクロ映像で描き出す。
先日行われたアカデミー賞のノミネート発表では、作品賞、監督賞、助演女優賞、助演男優賞、脚本賞、主題歌賞、音響賞の7部門でノミネート。名実共にオスカー最有力の声が高まっている。
予告編は、希望に満ちた音楽と共に牧歌的で平和な時間が流れるベルファストの生活から幕を開けるが、プロテスタントの武装集団がカトリック住民を攻撃したことで、穏やかな日常は一変。不穏な空気が街を覆いはじめる。そんななかにあっても、笑顔とユーモアを忘れずに未来へと向かおうとするバディの家族たち。過酷な現実を描きながらも、前向きなメッセージを伝える映像に仕上がっている。
ラストに映し出されるのは、故郷を歩くブラナー監督の背中。「その時の光景は、まさに私が記憶していたまま描かれている。あの午後、スローモーションのように世界がひっくり返る瞬間を見た。その瞬間から、世界は永遠に変わってしまったんだ」と振り返るブラナー監督は、本作について「過激さは違えども、世界中の人が同じような転換期を経験しているはずだと思ったんだ」と誰もが自身の体験を反映できる物語だと明かしている。
キャストには、バディを演じるジュード・ヒルのほか、カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズらが出演。キアランは助演男優賞で、ジュディは助演女優賞でそれぞれアカデミー賞にノミネートされている。(編集部・入倉功一)
映画『ベルファスト』は3月25日より全国公開