上白石萌音、歌はなかったら生きていけないくらい大切なもの
俳優の上白石萌音が9日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『コーダ あいのうた』(公開中)の舞台あいさつに登壇。「こんなに素敵な、的を射たサブタイトルはないと思います。まさしく『あいのうた』についての映画だと感じます」と感激の面持ちで、涙でマスクをグショグショにしたという感動シーンや、自身にとっての歌とは何かなど、熱い思いを語りつくした。
先日の第94回アカデミー賞で作品賞・助演男優賞(トロイ・コッツァー)・脚色賞の3冠に輝いた本作は、耳の不自由な家族の中で、唯一耳が聞こえる少女・ルビー(エミリア・ジョーンズ)が歌の才能を認められたことをきっかけに、夢と現実のはざまで葛藤するドラマ。
本作のテレビスポットのナレーションを担当した上白石は、登壇すると手話で「みなさん、こんにちは。わたしの名前は上白石萌音といいます。『コーダ あいのうた』アカデミー賞おめでとうございます。今日は一緒に楽しみましょう。よろしくお願いします」とあいさつ。また、「この映画に出会えてよかったと心の底から思います。心揺さぶられましたし、歌が大好きになったし、手話をはじめたいと思うきっかけになりました。たくさんのものをくれた映画です」と喜びを語った。
大勢の人に本作を勧めたという上白石は、妹の萌歌にも「絶対に観なさい」と推薦したそうで、「(鑑賞後に萌歌が)『最高だった』と言って、ほとんどすべてのシーンについて1時間くらいしゃべりました。妹も歌う理由に共感したと言っていました」と報告。さらに、上白石は特に感動したシーンとして「ルビーがお父さんのために歌うシーン」を挙げると、「マスク1枚ダメにするくらい泣きました。(ルビーの)震える声帯に手を当てて(歌声を)聞くお父さんの顔が本当に素敵で、娘が歌っている嬉しさと、それが自分には聞こえない切なさとか、全部お顔だけでわかるシーンでしたし、歌って耳で聞くだけのものじゃないんだなと感じました」と感慨に浸った。
歌手としても活躍する上白石は、自宅でビッグボイスで歌っているそうで「めちゃめちゃ歌っていますが、お隣さんからはまだ何も言われていません」とにっこり。そんな上白石にとって、歌は「一番好きで、一番怖いもの」。「好きだからこそ怖いです。家で一人で歌う分には好きだけでいいですけど、お仕事になると、好きだからこそ、いい歌を歌いたいと思うし、歌に失礼がないようにと思います」と吐露。一方で、「歌うのが怖くて怖気づいちゃっているときに勇気をくれるのも歌。本当に歌がなかったら生きていけないくらい大切なものです」と熱い思いを打ち明けていた。(錦怜那)