『ドクター・ストレンジMoM』ワンダの人生は悲劇の積み重ね エリザベス・オルセン「彼女はそれでも生き続ける」
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(公開中)でワンダ・マキシモフを演じたエリザベス・オルセンが、伝説の魔女スカーレット・ウィッチとして覚醒したワンダについて、各国メディア向けの合同インタビューで語った。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で双子の弟ピエトロと共にマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に本格登場したワンダは、はじめこそアベンジャーズと敵対していたが、その後はアベンジャーズに加入してヒーローの道を歩んでいった。しかし、ピエトロや最愛の夫ヴィジョンを亡くし、怒りや悲しみを制御できなくなったワンダは暴走し、ドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」では悲劇的な事件を引き起こしてしまった。
愛する者との別れを経て、アベンジャーズ最強の魔女として君臨するワンダ。エリザベスは、自分が演じているキャラクターが悲劇的な役なのかと問われると、「そう思います」と即答し、「彼女の人生すべてが悲劇の積み重ねだと思うし、彼女は悲劇的なヒーローです。でも、彼女はそれでも生き続けることで強くなっているんです。悲劇を次々に経験していくのですが、今のところ、彼女はそれを克服していっている。対処して、悲しんで、そして前に進んでいこうとしてる」と説明する。「観客が彼女と気持ちを通じ合えるのは、彼女が深い痛みや深い喪失感を感じながらも、それを乗り越えて前進しようとするからだと思います」
「ワンダヴィジョン」から続く彼女の物語をホラーテイストを交えて活写したのが、『スパイダーマン』3部作でお馴染みの鬼才サム・ライミ監督だ。幼少期からホラー映画が好きだったエリザベスは、「友達の両親が、私たちが恐らく観るべきではないような映画をクローゼットがいっぱいになるぐらい持っていたんです。そのほとんどがホラー映画でした。サムの作品もよく知っていましたよ」と振り返る。
実際に仕事をしてみると、ライミ監督が「想像する人物とは正反対の人」であることに気づいたそうだ。「彼は優しくて親切で、物腰が柔らかくて口調も穏やかで、深い思いやりのある素敵な人。彼はみんなと協力しながら映画を作っていこうとする人で、いつもみんなの観点を知ろうとして、その中で最高のアイデアを採用していました。自分が考えていたのとは違うものであっても、常にいろいろなアイデアを試していて、彼との仕事は本当に素晴らしいものでした」
ワンダの物語は、本作のカギでもあるマルチバース(いくつもの並行世界)によって深掘りされていく。エリザベスも、マルチバースがMCUにもたらす「際限の無いストーリーテリング」に興味を示していた。「ストーリーの観点から言うと、私たちはあと何回、世界を救うの? と考えてしまう時が出てきますよね。そこに、この世界での私たちの行動によって結果が変わってくるというとっぴな話が登場。それが、私たちをどこに導いていくのか、私たちはその世界で何を生み出し、そこから何を得ていくのか。この考えは俳優にとっても、とてもワクワクすることだと思います」
主演のベネディクト・カンバーバッチとは『アベンジャーズ』シリーズで共演していたが、短時間のアクションシーンの撮影で一緒になっただけで、「ちゃんと一緒に仕事したことはありませんでした」とエリザベス。「ベネディクトは、私たちの演じる人物についての一連のストーリーが常に明確であること、その軌跡が明確であることをいつも確認していました。たくさんの問題も一緒に解決しました。一個人としても、彼を知ることができて本当に楽しかったです。彼は、すごく知性あふれた話し方をするんですよ。とても頭が良い人で、彼から学ぶところが多かったです」と充実感をにじませた。(編集部・倉本拓弥)