間宮祥太朗、親友・矢本悠馬と共演に「間違いない」 島崎藤村「破戒」60年ぶり映画化
俳優の間宮祥太朗が13日、都内で行われた映画『破戒』（7月8日公開）完成披露舞台あいさつに登壇し、10年以上に渡る俳優としてのキャリアを振り返り「これまでで一番シンプルに“良い映画だな”と思えた作品。そう思えたことが幸せでした」と感無量な表情を浮かべていた。舞台あいさつには石井杏奈、矢本悠馬、前田和男監督も出席した。
1948年に木下恵介監督、1962年に市川崑監督によって映画化された島崎藤村の長編小説「破戒」。約60年ぶりの映画化となる本作では、映画『東京リベンジャーズ』やドラマ「ファイトソング」、「ナンバMG5」（放送中）など出演が相次ぐ間宮が、被差別部落出身であることを隠して生きる主人公の小学校教師・瀬川丑松（間宮）を演じる。
間宮は「100年以上前の原作、これまで過去2回映画化されていて今回が60年ぶり。この映画を今やる意味ってなんだろう」とオファーを受けた際の心境を吐露。「お話をいただいてから原作、そして準備段階の脚本を読みました。そのあと、今の世の中で起きていることを考え、制作陣が今この映画を撮ろうと思った意味に納得できたので、ぜひ参加したいと思いました」と出演に至った経緯を説明する。
過去の映画化作品については「撮影中に影響しないようにすべてが終わってから観ました」と言い、「この仕事を始めて14～15年ぐらい経ちますが、これまでで一番シンプルに“良い映画だな”と思えた作品。そのことが自分にとっては幸せでした」と笑顔を見せた。
前田監督が「この作品はロミオとジュリエットのつもりで撮りました」と語るように、間宮演じる出自を隠して生きる丑松と、石井演じる丑松に恋心を寄せつつも思いを告げられない士族出身の志保との恋模様は切ない。そんな二人の希望となったのが、矢本演じる悩める丑松を支える親友・銀之助だ。
公私ともに仲が良い矢本との共演に間宮は「何度目だよって感じですが、今回はただ仲が良いだけではない関係。銀之助を矢本悠馬が演じると聞いて、間違いないと思いました」と絶大なる信頼があったことを明かすと、矢本も「これまでも親友みたいな役が多かったですが、今回ほどプライベートでの仲の良さが良い方向に出たことはなかったかも」と語る。
さらに矢本は「祥太朗が丑松でいてくれたので、スッと銀之助になれた。役づくりにストレスがなかったので芝居に集中できた。二人のシーンは僕らの今までやって来た芝居のなかでも、最高の仕上がりになっている」と自信をのぞかせていた。
最後に間宮は「一人一人の人の中に世界は存在している。この映画は今起きている世界の事実を変える映画ではないけれど、それぞれの人の中にある世界に影響を及ぼす映画になっていると思うし、そうなって欲しい」とメッセージを伝えると、前田監督は「ロミオとジュリエットは悲劇ですが、この映画はほんの少しですが、希望が持てる。丑松と志保の距離感がいい。間宮さんと石井さんがとても良いお芝居をしてくださいました」と称賛していた。（磯部正和）