映画プロデューサー・河村光庸さん死去 『新聞記者』『MOTHER マザー』など社会派作品多く手掛ける
映画『新聞記者』『MOTHER マザー』などを手掛けたプロデューサーの河村光庸(かわむら・みつのぶ)さんが6月11日、心不全のため亡くなった。享年72歳。河村さんが代表取締役を務める株式会社スターサンズがマスコミに送った文書で明らかになった。
【写真】2023年に公開を控えていた横浜流星主演の新作『ヴィレッジ』
株式会社スターサンズによると、葬儀は遺族の意向により近親者のみで執り行われ、弔問、香典、弔電、供花などは辞退。「仕事とお酒と賑やかな事が好きだった故人への餞」として、後日小さなお別れの会を執り行う予定だという。
河村さんは、1949年8月12日生まれ。これまで数々の映画の企画を立ち上げ、プロデューサーとして活躍。東京新聞の記者・望月衣塑子によるノンフィクション小説を原案に、官邸とメディアの深い闇を描いた映画『新聞記者』(2019)は第43回日本アカデミー賞作品賞を受賞。同作では製作、企画、エグゼクティブプロデューサー、原案として名を連ねた。そのほか17歳の少年が自堕落な母親に追い詰められ、殺害事件を引き起こすまでを描いた長澤まさみの主演映画『MOTHER マザー』など、鋭い視点で社会問題に肉迫した作品を多く送り出してきた。今後、『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』などで組んできた藤井道人監督、横浜流星主演の新作映画『ヴィレッジ』の公開を2023年に控えていた。
その他、企画、プロデューサーに名を連ねた作品として『かぞくのくに』(2011)、『宮本から君へ』(2019)、『茜色に焼かれる』(2021)、『空白』(2021)など。望月衣塑子記者に密着した『i-新聞記者ドキュメント-』(2019)、第99代内閣総理大臣に就任した菅義偉の実像に迫る『パンケーキを毒見する』(2021)などのドキュメンタリーも手掛けた。(編集部・石井百合子)