中村倫也、無名だった頃から向井理と変わらぬ関係
俳優の中村倫也が24日、都内・新宿バルト9で行われた『ゲキ×シネ「狐晴明九尾狩」』(きつねせいめいきゅうびがり)初日舞台あいさつに吉岡里帆、向井理と共に来場し、10代の頃からよく知る仲だったという向井と過ごした若き日のエピソードを明かす一幕があった。
「劇団☆新感線」が2021年に中村倫也主演で上演した舞台「狐晴明九尾狩」は、同劇団の座付き作家・中島かずきの描き下ろしによる伝奇時代劇。これまで数多くの作品で描かれてきた安倍晴明伝説に、新感線らしいアクション・歌・ダンス・笑いを盛り込んだ伝奇ファンタジー。連日満員御礼で話題を呼んだエンターテインメント時代劇が、映画館の大スクリーン&高音質で体感できる「ゲキ×シネ」として公開されることとなった。
「中村倫也が安倍晴明を演じたら」という発想から誕生した本企画。演じた安倍晴明について「なんでこんなに俺のことわかるのかなというくらい。読んでいてすぐに腑に落ちるようなセリフとか行動が多かった役でした」と振り返る中村。彼にとっては2016年の「Vamp Bamboo Burn~ヴァン! バン! バーン!」以来、5年ぶりの「劇団☆新感線」参加。「やっぱり新感線の方々って、客演を迎えるのに本当に慣れている人たちなので。稽古に入ってすぐにスタッフさんで名前がわからない人がいたら聞いてねと言ってくださったり。劇団の中でも全体を見る人、裏で支える人、とにかくふざける人など、それぞれの役割が決まっているんです」と語る中村は、「だから妙に安心感や信頼感もある。全力で甘えられる人たちでしたね」としみじみ付け加えた。
本作で、陰陽師に化け日本の支配を企てる九尾の狐を演じる向井とはよく知る間柄だという中村。「僕が18とか19で、(向井が)22か23の頃。まだ全然、向井理という名前が出る前。お互い丸刈りで、特攻兵の役でした」と、2007年の映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』について言及。
その時からの変化について質問が及ぶと、「変わらないですよ」「俺も変わらないな」と言い合う二人。向井が「その時の現場では(中村が)最年少だったんですよ。だからみんなお兄ちゃんみたいな感じ。だから(中村は)みんなに甘えてきたし、逆にこっちからもイジってたし。それはあまり変わってないし、その時からやっぱり生意気でした」と笑いながら述懐すると、中村も「その当時の(向井)理っちの家にみんなで遊びに行って。あの向井理が生田のロフト付き六畳みたいなところに住んでたんですけど、みんなでゲームをやりました」とぶっちゃけ。向井は「言うの? 引っ越しているからいいけどさ」と笑ってみせ、中村も「その時はまだ(向井が)バーで働いているみたいな時期で。そんな二人が共演することになって……」としみじみしていた。
終盤、最後のメッセージを求められた中村は「ゲキ×シネってたぶん演劇とシネマを合わせた造語だと思うんですが、それくらい映画館で演劇を観ることに特化して作ったものなので。このゲキ×シネを見れば、より細かいところまで楽しめるようになっていると思いますし、見て損はない作品になっていると思いますので。見どころは、一生懸命頑張る(吉岡演じる)狐さんと、わたしも魂を吸い取られたいという人続出の理っち。観た女子は、あのセクシーボイスで、わたしもヒドいことを言われたいとか……」と冗談めかして向井をイジってみせた中村に、「もういいんじゃない?」とたしなめてみせた向井。気心の知れた二人の絶妙なやりとりに、会場は笑いに包まれた。(取材・文:壬生智裕)
ゲキ×シネ『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』は全国公開中(8月19日からドルビーシネマでも上映予定)