戦後77年、塚本晋也『野火』8年目のアンコール上映決定
塚本晋也監督の映画『野火』(2015)が、戦後77年を迎えた今年も、全国の劇場でアンコール上映されることが決定した。上映に先駆けて、メイキングの無料オンライン上映会が、塚本監督のQ&A付きで実施される。
『野火』は、作家・大岡昇平が1951年に発表した同名小説の映画化作品。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島で、肺病で部隊を追われた日本兵・田村(塚本晋也)が、暑さと飢餓による極限状態で体験する、むごたらしい戦争の現実を描き出す。塚本監督は主演のほか、製作、撮影、編集なども担当。共演にはリリー・フランキー、中村達也、森優作らバラエティー豊かな俳優陣がそろう。
2015年に全国83館で劇場公開され、ロングランとなった後も「毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場で、アンコール上映が行われてきた本作。初年度からの劇場・自主上映含む総観客数はおよそ9万7,000人にのぼるといい、8年目となる今年も、渋谷・ユーロスペースを中心に全国34館での上映が決定した(6月24日現在)。
各劇場の上映予定や併映予定などの詳細は、劇場サイトや映画オフィシャルサイト・SNSにて随時発表予定。アンコール上映に先駆けて、7月5日(20:30~)に同作のメイキング「塚本晋也解説『野火』20年の軌跡」の無料オンライン上映会を塚本監督のQ&A付きで実施する。30名限定となり、申し込みは「Peatix(ピーティックス)」で6月28日(火)20:00より受付開始。
塚本監督はこの夏から『野火』『斬、』の流れをくむ新作の撮影に入る予定。監督のライフワークとなりつつある『野火』の上映は、戦禍が多くの人々の目に触れる日々が続く現在、戦場の恐ろしさを体感し、あらためて戦争と平和について考える機会となりそうだ。塚本監督のコメントは以下の通り。(編集部・入倉功一)
映画『野火』は2022年夏、渋谷・ユーロスペースほか全国にてアンコール上映
塚本晋也監督からのコメント
実際の戦争が激しさを増し、様々な思いが様々な形で渦巻く時代となりました。
戦争に近づかないためにできることー。
そのことを考えるとき、まず、この『野火』を観ていただきたいと思います。
そして考えるきっかけにしていただけたらと思います。
最初の上映からまる7年を経過した8年目の『野火』。
共感してくださった劇場さんが、今年もこんなにたくさん上映をしてくださいます。改めて感謝と驚きを感じています。
劇場での体験は、特別なものになると確信します。
今年もよろしくお願いいたします。