絞首刑を宣告された少女の真実…吉田羊&大原櫻子「ザ・ウェルキン」開幕!
吉田羊、大原櫻子共演によるシス・カンパニー公演「ザ・ウェルキン」東京公演が、本日(7日)に開幕した。本作は、英国注目の劇作家ルーシー・カークウッドによる、18世紀半ばの英国辺境地で絞首刑を宣告された一人の少女の真実を巡る物語。6日に行われたゲネプロから、助産婦エリザベスを演じる吉田と、殺人犯サリーを演じる大原のコメント、舞台写真が公開された。
ルーシー・カークウッド作「ザ・ウェルキン」は、世界が深刻なコロナ禍に見舞われる直前の2020年1月下旬に英国ナショナルシアターで開幕。英国で最も注目を集める新進劇作家の新作として注目を浴び、スリリングなストーリー展開と女優陣の白熱した演技が話題を呼んだが、コロナによるロックダウンで2か月にも満たず全公演が中止に追い込まれた。タイトル「ザ・ウェルキン The Welkin」は、英語の古語で「天空」を指す。物語は、人々が75年ぶりに「天空」に舞い戻る大彗星を待ち詫びる1759年、英国東部のサフォークの田舎町を舞台に展開する。演出は、ドラマ「きれいのくに」(脚本・演出)、「俺のスカート、どこ行った?」(脚本)や映画『わたし達はおとな』(監督・脚本)などを手掛けてきた加藤拓也。
物語は、少女サリー(大原)が殺人罪で絞首刑を宣告されるところから始まる。しかし、彼女は妊娠を主張。妊娠している罪人は死刑だけは免れることができるという。その真偽を判定するため、妊娠経験のある12人の女性たちが陪審員として集められた。その顔ぶれは、21人の出産を経験した者、流産が続き子供がない者、早く結論を出して家事に戻りたい者、生死を決める審議への参加に戸惑う者などさまざま。その中に、サリーに公正な扱いを受けさせようと心を砕く助産婦エリザベス(吉田)がいた。果たして、サリーは本当に妊娠しているのか? なぜエリザベスはサリーを助けようとしているのか……?
助産婦エリザベスを演じる吉田は「稽古を積み上げるごとに新たな発見があり、役やシーンがどんどん深化していく様に心震える日々でした。小さな陪審員室は社会の縮図さながら。人や立場、境遇を変えれば男女皆等しく時代を超えて当てはまる構図に唸ったのは一度や二度じゃありません。そして、嘘とまこと、現実と妄想の向こうに透けて見えたのは今を精一杯生き、幸せを掴もうとする人々の姿でした。物語後半、ある陪審員が言います。『一日家を空けるってなんて楽しいのかしら』。どうぞ日常をしばし忘れ、彼女たちと一緒に心を解放し、観劇後、ああでもないこうでもないと議論を交わして頂けたら幸いです」と作品の魅力をアピール。
殺人犯サリーを演じる大原は「男女差別、女性の身体ゆえの生理、妊娠、そして生と死、親と子、愛、、とても多くのテーマを孕んだこの作品への挑戦は、とても高い壁でした。スパルタ演出家、加藤拓也さんを筆頭に、約1ヶ月半、とても丁寧な稽古を重ねてきました。サリーは囚人なので、陪審員にとっては“敵”のような存在ですが、実際演じる役者の私達は、手と手を取り合って、阿吽の呼吸を大切にしてきました。今の時代にこの作品を届ける意味を、常に自分の心に握りしめ、本番に臨んでいきたいと思います」と本番への意気込みを語っている。
共演に長谷川稀世、梅沢昌代、那須佐代子、峯村リエ、明星真由美、那須凜、西尾まり、豊田エリー、土井ケイト、富山えり子、恒松祐里、神津優花、田村健太郎、土屋佑壱、段田安則(声の出演)ら。
東京公演は7月7日から7月31日までBunkamuraシアターコクーンにて、大阪公演は8月3日から8月7日まで森ノ宮ピロティホールにて上演。(編集部・石井百合子)